100万回生きた俺。【ヒロアカ】 (ページ10)

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最期の幕開けページ10

グラウンドβに集合した皆は、それぞれの個性に合わせたコスチュームを纏っている。

俺の個性に合うのが「芋ジャージ」なのか？冴えないコスチュームだ。

この訓練を機会に、個性を利用方法を知っておくか。

ｵｰﾙ「始めようか、有精卵共！！！
戦闘訓練のお時間だ！！！」

目の前のオールマイトにはもちろん虫ずが走るが、今は自分の個性を知ることが先決だろう。

「万斛の涙」とは、ことわざとして知られている言葉だ。

意味は「とめどなく流れる涙のこと。」だ。

相澤先生の情報によると、その“とめどなく流れる涙”で出来る事が治癒だけらしい。

しかも、デメリットのほうが大きい。

恋人のキスでしか止まらない涙で、脱水症状になる危険もあるらしい。

戦闘訓練での使い道がない。

オールマイトの説明は、こうだ。

2人～3人1組を5グループ、５グループに分ける。

一方がヴィラン役で、もう一方がヒーロー役。

ビルに隠された核兵器の奪還がヒーロー役の任務で、それを阻止するのがヴィラン役の任務。

時間制限を設けて、ヒーロー役が任務完遂ならなかったらヴィラン役の勝ち。

クジで決められたチームで、俺はAグループだった。

緑谷と麗日と同じグループ。

麗「Aくん！デクくん！頑張ろう」

緑「そうだね！Aくんの個性も気になるし…」

俺も自分の個性が気になる。

けど、この訓練では使えなさそうだ。誰かが怪我でもしない限り。

あ、でも俺…今さら誰かが怪我したところで泣けない…。

俺は考え込みながら、序盤の出番に溜息を付いた。

対戦グループはDで、ヴィラン役らしい。

俺はヒーローの真似事をしなくてはならない。

…俺、ヴィランがよかった。

五分後に始まる訓練。俺はチームメイトとの打ち合わせに集中する。

『なぁ、どういう作戦でいく？』

緑谷は、俺の声も聞こえないくらい緊張していた。

…たかがヒーローの真似事に緊張するなよ。

『緑谷、落ち着けって。楽しくやろうぜ、訓練なんだし。』

緑谷は俺の言葉に真剣に答えた。

緊張した表情から、一瞬でヒーローというものの表情に変わる。

緑「…Aくんの個性は、こんな状況でも余裕でいられるくらい凄いの？
見るのが楽しみだ！」

言っていることは普通の会話なのに、緑谷の声の節々には殺気のようなものを感じる。

オールマイトが俺にかけた暗示のような、そんな言葉。

『っ……そんなことは…ないよ。』

これだから、ヒーローは嫌いなんだ。