100万回生きた俺。【ヒロアカ】 (ページ16)

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ヴィランに対するヒーローの存在ページ16

赤いフレームの眼鏡が、徐々に馴染んできた。

厚いレンズに、遠視を補助する役割が課せられる。

学校に着いて、教室の爆豪の隣の席に座る。

『おはよう、爆豪。
昨日の昼はご馳走様』

爆「ん…」

俺は眠そうに席にいる爆豪に、1000円札を手渡した。

ススキのような髪の毛が、俺の目の前をチラつく。

可愛いな、“子供”みたいだ。

俺は年齢(推定1000万歳以上)からして、お爺ちゃん…とかになんのか…。

複雑だな。一緒に学生やってるお爺ちゃん…か。

自分の孫、とか…大して新鮮でもない。第76万回目の人生で経験済みだ。

『眠そーだな、爆豪』

俺は、昨日の戦闘訓練については触れなかった。触れる必要もなかった。

俺の顔を見ようとして、舟をこいでいる爆豪。

爆「…うっせぇ……眠ぃ…クソチビ……あ？
………眼鏡だぁ？」

爆豪はウトウトしながら、俺の眼鏡に手を伸ばす。

俺も眠いが、爆豪はもっと寝不足か？

伸ばした爆豪の手を握って、俺は爆豪の髪を撫でてみた。

フサフサとした手触りの心地良さと、ニトロの甘い香りが香る。

『爆豪、昨日は本当に助かった。
今日も、よろしくな』

爆「…うぜぇ…よろしくしねぇってつったろ…クソが…！」

爆豪は眠そうで怒ってて、忙しく表情が変わる。

朝のチャイムが鳴るまで、あと10分弱ある。

教室に来た皆は、それぞれ友達と話している。

やっぱり、グループはあるみたいだ。懐かしいな。青春だぞ、青春。若い。最高。

なんて、人生ループを繰り返す前の自分の学生時代を懐かしむ。

『あ、今日の昼は一緒に食堂で食べよう』

爆「てめぇ、話聞いてねぇだろ」

『聞いてる聞いてるｗ。
爆豪は俺とよろしくしないんだろうげど、俺は爆豪とよろしくするからな。
だってお前、優しいじゃん。悪ぶる必要なんか無いだろ』

俺は、爆豪はしてくれたことを思い出しながら言った。

転校初日の奴に世話焼けるって、実はなかなか出来ることじゃない。

しかも、数千万歳も年上の奴に対してだ。価値観だって違うだろ。

俺と、爆豪じゃ。

爆「っはｧ！？何ふざけたことぬかしとんだｺﾗ」

『おーおー言っとけよｗ
俺は、お前のおかげで楽しかった。
だから昨日同様、今日もよろしく。』

爆豪は、それきり何も言わなかった。

机に伏せて、耳まで赤くして、俯く。

反抗期のガキか。

爆「………クソチビ…/////」

爆豪が子供らしくて、愛着と加護欲が湧いて出る。