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は？冗談でしょ。
思わず言ってしまいそうになる衝動を
ぐっと抑えた。
わざと視線をそらしていたが、
その視線を薮に戻してみるとやっぱり
苦しそうで、いまでも消えてしまいそうで。
...ねえ、俺は知ってるよ。
薮は、ジュニアのときからずっとずっと光のことが
好きなの。
光しかお前の視線にはいなかったもんね。
同性を好きになったんだって、今みたいに苦しそうな顔で
相談してきたよね。
俺は、薮が光のこと好きになる前から好きだったんだけどね。
あとあと、あれもしってるよ。
薮が、煙草に依存した理由だって。
光が薮の煙草吸ってる姿見て
「煙草吸ってる薮すごいかっこいい！」
そうやって無責任な言葉を投げつけたからなんでしょ？
いつもそう。
光が似合うって言った髪色は、色素が抜けるまで続けるくせに、
俺がかっこいいって勇気を出していった髪の色は
きずいたら変えちゃうんだもんね。
「…のおっ？？ 伊野尾？？」
「あっ、ごめん。ぼーってしてた…。」
「それはいいんだけどさ、お前なんでないてんだよ？」
いわれてから気づく頬を伝る生暖かいなにか。
なんで俺泣いてるんだよ。
悲劇の主人公ぶってんな俺。
「なに、伊野尾？
俺のために泣いてくれてんの？良いやつかよ。」
俯きかけてたおれは顔をあげて薮のほうを見上げるとそこには、
涙しながら俺の大好きな笑顔でそっと俺の頭をなでてくる薮。
「…薮も泣いてるじゃん。」
そう言って笑ってみれば、マジかよっていいながら
服の裾で自分の顔を拭う薮。
その行動に思わず笑ってしまうと、
「笑うなって！」
なんていう薮の顔も泣きながらくしゃくしゃな笑顔で。
さっきより強い力で頭を撫でてくる薮の手には、
いつの間にか煙草はなかった。
代わりに見えたのは、銀色の灰皿に押し付けられたたばこ。
そんなことに意味もないけど、薮の気持ちも俺の気持ちも報われるわけでは
ないけど、いまだけ押し付けられた煙草が光という縛りが
なくなったみたいにおもえて、うれしかった。
あのさ、薮。俺、高望みはしないから
こうやって偶に、貴方の優しさに触れてもいいですか？
煙草のように俺を蝕んでつかもうとしたらきえちゃいそうな貴方。
そんな、煙のような貴方をずっとずっと大好きでいさせてください。
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続く
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作者名：emm0625 | 作成日時：2019年1月25日 0時
