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「―――……！！」
その言葉で、ドームの奥がざわりとうごめく気配がした。
竜王が動いたんだ、と直感で分かった。それにつられて、私たちにも緊張の糸が張り詰める。
「……殿下、お言葉を」
「……。あぁ」
静かな空間で、殿下が息を吸うのが聞こえた。
「――悠然なる竜の王よ！ 貴方の誕生を、心よりお祝い申し上げる！」
その言葉で始まった祝言は、案外手短に終わった。
彼だって竜王を前にするのは初めてだろうが――流石、肝が据わっている。おかしいな、精神年齢は私のほうが上なはずなんだが？
その後は、竜王へのお祝い品の献上に移る。
王都から持ち込んだ陶器やら宝石やら、平たく言えばキラキラしたものを差し出すのだ。
本当にこれがお祝いの品になるのか甚だ疑問だが、聞くところによると、竜たちはキラキラしたものが好きらしい。
献上品は五つほどあって、それを差し出すのは私たち令嬢の役目だった。
三人ほどで固まって、一つの品を竜たちの前に置いていく。一つ目、二つ目……三つ目も終わった。
私は最後の品の担当だったので、順番が来るのを顔を伏せたまま待つ。
一歩前の令嬢たちが足早に捌けていった。いよいよ、自分の番だ。
他二人が一緒だったのだが、いつの間にか献上品は私の手の上にあって、他二人は私の影にやや隠れるように付いてきている。えぇ……。
文句を言っても仕方がないので、すすんで竜たちの前へ。
既に置かれていた品の傍らに、ささっと置いてくればいいだけの簡単なお役目である。
『(……ちょっと。ちょっとだけ)』
こういうときの好奇心ほど、厄介かつ手を焼くものはないだろう。
列へ戻ろうと踵を返す一歩手前、盗み見てやろうと上げた視線が、ばちりとかち合ったとき。
『――……え』
私の人生は、大きく、大きく変わってしまうことになる。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
