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『真似したこと、嫌でしたか？』
「……！」
先程よりも砕けた言い回しで、出来るだけ分かり易く、ゆっくりと。
案の定男は、眉間に寄っていた皺をゆるりとほどいた。
「……いいえ、こちらこそ、すみません」
無表情でぺこりと頭を下げる。そこには思った通り、安堵の色が垣間見えた。
『(……慣れてないのに、喋ってくれたんだ)』
グルッペンさんくらい流暢に話せるほうが、きっと特別なんだろう。
でも彼だって凄い。私なんてこの村の言葉をひとつも理解していないのに、こちらに合わせて話をしてくれたってことだ。
『……これは、何かにかけるものですか？』
「これ、ここ、です」
言われてみれば、たどたどしく言葉を切りつつ話す様子は微笑ましい。
いや、大人の男性に微笑ましいはちょっぴり失礼かもしれないが。まぁ心の中だけなら大丈夫だろう。
『……ん』
――味変わる、美味しいわ。
黒いソースのかかったメイン料理は、また違った味わいを出してくれた。これ明日も食べられないかな。
「……。おいしそう、食べますね」
『え――』
不意にかけられた言葉に、隣を見る。そして目を瞠った。
男は、目を細めて嬉しそうに笑っていた。
先程の吹き出すような笑いとも違う、柔らかい笑顔だった。
『(……えー、ギャップー)』
――どっちかというと、クールな人だと踏んでたんだけどなぁ。
思いがけずドキリと高鳴った心臓に、内心で苦笑する。
仕方ないでしょ。どんな世界も、女はふとしたギャップに弱いものなの！
『はい、本当に、美味しいので』
「そ、ですか」
すぐに戻ってしまった表情は少し残念だったが、良いものを拝めたということで終いにしよう。
そういえば、他の令嬢たちはどうだっただろうか。
何もトラブルがなかったらいいけど、と考えながらも、その日は無事終わりを告げたのだった。
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感情末期 - コメント失礼しますー!巡回いってきます!!大好きです!!いってきます! (2021年10月5日 22時) (
レス) id: c7b86b77aa (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 蓮さん» コメントありがとうございます。頑張って組み込んだコメディ部分、ウケたようで嬉しいです(笑) 応援ありがとうございます。 (2020年5月21日 2時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
蓮 - コメント失礼します！ふにんきのところ笑っいました。更新頑張ってください！応援してます！ (2020年5月21日 0時) (レス) id: a5a3967b27 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 櫻華さん» コメントありがとうございます。これからもご満足いただける作品になるよう頑張ります！このご時世なので、櫻華さんも重々ご自愛くださいね。 (2020年5月20日 22時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
櫻華(プロフ) - 初コメ失礼します！リアリティのあるお話で、とてもハマりました！お身体に気をつけて、これからも更新頑張ってください！ (2020年5月20日 16時) (レス) id: e0d01a51ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月24日 1時
