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「……でも、お前にも選んどった」
『え？』
「髪飾り、こうやって」
『……！』
ゾムは繋いでいたのを離して、その手でAの髪に触れた。
まだ少しだけ拗ねたように目を細める一方で、ふわり、あまりにも控えめで優しい手つき。
一瞬で引き込まれそうになるのを堪えて、Aは思考を巡らせる。えっと、あれは確か――
『……っ』
思い至った記憶に、彼女は音が出そうなくらいに紅潮した。
それは当然目の前にいる男にも丸分かりで、切れ長な目が吊り上がる。
『そ、それ、言わなきゃダメ……？』
「は？ 何でも聞け言うたやん」
『そ、うだけど――』
染まった頬を隠すように、Aは持っていた小さいほうの花束を自身の顔に翳した。
その仕草こそが、彼の琴線に触れるとも考え至らずに。
案の定それはゾムにどかされて、A、と低い声で名前を呼ばれる。この男を前にして、もはや逃げ場はない。
『あれ、は……こういうのを選んでもらいな、って、言われて』
せめてもの抵抗として、ゾムの鎖骨辺りに視線を落としたまま。
「……どういう意味」
『わ、たしが……"そういう人"がいる、って、言っちゃったから』
「は？」
――ちょ、っと……あんまりベタベタ引っつかないで！
――えー、ついにAも反抗期か？ 兄ちゃん悲しいなぁ。
――そっ……別に、そういうんじゃなくて……
――A？
――……勘違い、されたくない人が、いるの。
「……！」
再び顔を覆いながら言われた言葉に、ゾムは目を見開いた。
その言葉は、胸にあったわだかまりを溶かし込んでしまうには十分すぎて。
彼が呆然としていると、少し低い位置から震えた声が上がる。
『……ゾ、ゾム』
見下ろすと、羞恥で赤くなった瞳とかち合った。
『返事……今、聞かないの？』
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江之子(えのこ)(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。自分でもこの設定好きです(笑) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月15日 12時) (
レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ピヨさん» コメントありがとうございます。どちらも楽しんで頂けて私も嬉しいです。是非最後までお付き合いください！ (2020年5月15日 12時) (レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
あんり - ひいぃ...好き...もう少し続くとの事なので楽しみに待ってます！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。本作品を最初からrbロ編とzム編を全て読んだのですがどちらの物語もとても面白くて、設定も個人的にとても好みで最高でした。完結まで楽しみにしています。 (2020年5月10日 8時) (レス) id: 3ec25a42f9 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 豆腐の中の棒人間さん» コメントありがとうございます。確かに言い回しは沢山考えて練っている部分ですので、褒めて頂けると嬉しいです！実はご作品の「転生者は…」を密かに楽しませてもらってます。お互い頑張りましょう！ (2020年5月6日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
