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「んん……あー、Aはなんや、買いモンか？」
『うん。そっちは？ ゾム達もお買い物？』
「ちゃうちゃう。この先の家に、依頼でな」
『そうなんだ、頑張ってね』
では、あまり引き止めるのも悪い。いや、そもそも先に引き止めたのはあちらだが。
後ろのエーミールにも笑って会釈をして、Aはその場を立ち去ろうとする。
「……。な、一緒に行かへん？」
『え？』
「え、ゾムさん何言っとるんや急に」
唐突過ぎる提案に、呆気に取られてしまう。
『いや……荷物もあるし』
パンより他にも調達品はたくさんあった。見てみろ、と言わんばかりに肩を竦めると、ゾムは何故か目を光らせる。
「よし。ならエミさん、これ、"フィリアス"のホームまでよろしくな」
「えぇっ！？」
言うが早いか、Aの手からごっそりと荷物を奪い取ったゾム。その無駄のない動きに反応が遅れて、Aの腕から荷物が消えた。
消えた荷物はいつの間にか、エーミールの腕の中に収まっていた。
『ちょ、ちょっと！ 何やってんの！』
「ええから。ほな、エミさん頼んだでー」
「え、マジのやつ？ これマジのやつですか？」
「マジマジ。大マジ」
背中を向けたゾムの表情は見えなかったが、その奥のエーミールが大きく溜め息を吐いたのは分かった。
やがて彼は荷物を抱え直し、胡乱げな目でゾムを見据える。
「はぁ、仕方ないなぁ。一つ、貸しですよ」
「おん。飯でも奢ったるわ」
「それは勘弁で！」
顔を歪めて悲鳴を上げたエーミールは、何とそのまま立ち去ろうとした。
『エーミールさん！ そんな、悪いです』
「いいんですよ。それに、悪いのは完全にゾムさんです」
当のエーミールに笑ってそう言われてしまえば、Aは口をつぐむしかなくなる。
その傍らで、責められているくせに可笑しそうに笑っているのはゾムだ。
結局、それじゃ、と言い残して、彼はAの荷物を持って去ってしまった。
「うし、ほんなら行くか」
『……ねぇ、ほんとに良かったの』
「問題ナシ」
――ほんとかなぁ。
相も変わらず強引な彼に溜め息を吐くしか出来ず、Aは大人しく彼の横に並んだ。
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江之子(えのこ)(プロフ) - あんりさん» コメントありがとうございます。自分でもこの設定好きです(笑) これからもよろしくお願いします！ (2020年5月15日 12時) (
レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
江之子(えのこ)(プロフ) - ピヨさん» コメントありがとうございます。どちらも楽しんで頂けて私も嬉しいです。是非最後までお付き合いください！ (2020年5月15日 12時) (レス) id: f1826b23af (このIDを非表示/違反報告)
あんり - ひいぃ...好き...もう少し続くとの事なので楽しみに待ってます！ (2020年5月15日 8時) (レス) id: 4620368618 (このIDを非表示/違反報告)
ピヨ(プロフ) - 初めまして、コメント失礼します。本作品を最初からrbロ編とzム編を全て読んだのですがどちらの物語もとても面白くて、設定も個人的にとても好みで最高でした。完結まで楽しみにしています。 (2020年5月10日 8時) (レス) id: 3ec25a42f9 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 豆腐の中の棒人間さん» コメントありがとうございます。確かに言い回しは沢山考えて練っている部分ですので、褒めて頂けると嬉しいです！実はご作品の「転生者は…」を密かに楽しませてもらってます。お互い頑張りましょう！ (2020年5月6日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
