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「あ、チーノ」
案の定、姉さん、と呼ばれたのはドリーで。
彼女は男――チーノと呼ばれたその人から、何かを受け取った。
「これ！ Aに着けてあげようと思ってたやつ！」
「姉さん、玄関先に置いていったまま出てったっしょ。入用かなと思って」
「ナイス！ A、これも着けましょ！」
『あ、うん……』
ドリーには弟がいたんだなぁ、と呑気に考えていたAは、名指しされて肩を揺らす。
ドリーの後ろからひょこりと覗き込んだチーノは、Aの姿を見つけて顔を輝かせた。そして何を思ったか、姉であるドリーを追い越して、Aの前まで駆け寄ってくる。
「あなたが、Aさん？」
『はい、そうですが……えっと、ドリーの弟さん？』
Aはまさに自分だと頷けば、彼は一層目を輝かせる。
近くで見ていて気付いたが、彼のかけている眼鏡は随分と分厚かった。
「いやー、初めましてですねぇ！ チーノです、よろしく！」
『あ、よろしくお願いします……』
手を差し出されたので応じれば、チーノはAの手を両手で握ってブンブンと振った。
そのテンションの高さに、Aは目を白黒させる。やがてドリーが、こら、と彼の頭を小突いた。
「いって……あぁ、それはそうとAさん、めっちゃ綺麗っすね！」
『はぁ、ありがとうございます……？』
「帰ったらロボロに自慢してやろーっと」
『え、ロボロさん？』
彼の口から出た言葉に、思わず反応してしまう。Aが首を傾げると、ドリーが補足してくれた。
「こいつね、"向かい"のメンバー」
――えっ、そうなの？
ドリーに弟がいたことすら初耳なのに、その彼も冒険者で、しかも"我々だ！"のメンバーだったとは。この様子ならロボロとも親しそうだ。
世間の狭さをつくづく実感していると、手を握ったまま、チーノは顔を寄せてくる。
「いやぁ、本当に綺麗ですわぁ。ねぇAさん、天使のようやわ」
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江之子(プロフ) - みかんさん» コメントありがとうございます。頑張ります！これからもお楽しみください。 (2020年7月13日 16時) (
レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 藻塩。さん» コメントありがとうございます。気に入ってもらえる展開でしたか！作者も好きです、書くときちょっと辛くなりましたが…(笑) (2020年7月13日 16時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
みかん - コメント失礼致します。とても面白く読ませて頂いています。これからも更新頑張って下さい。 (2020年7月12日 19時) (レス) id: 8cc228e6cc (このIDを非表示/違反報告)
藻塩。(プロフ) - 江之子さん» コメ失礼します、すんごく展開が好きです…！これからも無理しないように頑張ってください！ (2020年7月12日 14時) (レス) id: 7b5f2afcc4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - 菜の葉さん» コメントありがとうございます。登場人物たちに感情移入してもらえるとは、この上ない褒め言葉です…！頑張ります。 (2020年7月11日 0時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年4月20日 23時
