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「トントン!! 大先生!!」

「は――し、シッマ!! とととんち! シッマや、シッマがおる!!」

「コネシマぁ!! 止まらんからな! 死ぬ気で乗れ!!」

 荷台に掴まり、こちらを見つけてくれたのは隣のクラスの鬱くん。そしてなんと、運転席から怒鳴ったのは、彼と同じクラスのトントンくんだった。
A、と名を呼ばれる。言わんとしていることは分かった。

 私たちは一斉に、爆速で近付いてくる軽トラックへと走り出す。

「いけ! 乗れ!!」

 コネシマの合図で、荷台へと飛ぶ。後ろからも背を押され、鬱くんに引っ張られつつ私は軽トラックの荷台へ乗り込むことに成功した。
次いでコネシマも、自身の力で飛び込んでくる。軽トラックは"やつら"の何人かを弾き飛ばし、鈍い音を立てながら、ついに校門を飛び出した。

『は……たすかった……!』

 三人で、過ぎ去った校門を呆然と眺める。

「……シッマ、噛まれてないねんな?」

「……。あほ、噛まれてたまるか」

 それならええねん。鬱くんは呟くように言って、へなへなと座り込んだ。
荷台には彼しかいなかった。きっとこの二人も私たちと同じように、最悪の光景を見てきたはずだ。

 まだうるさく跳ねる心臓を必死に抑えて、私はコネシマににじり寄った。彼はそのまま迎え入れるように、私を引き寄せる。
ぽすんと肩に頭を預けると、コネシマは慣れてなさそうな手つきで髪を梳いてきた。

 そんな様子に、視界の端で鬱くんは苦笑している。

「やから、大丈夫やって言っ――」

『……。えっ』

 言葉がふいに途切れ、彼の身体が不自然に後ろに遠のく。支えを失った私は、つられるように前方に倒れ伏した。

「シッマ!!!」

 鬱くんの怒号が上がる。
目線を上げた先に、コネシマは居なかった。……なんで、たった今、ここに。
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ムツえ - 10話だけなのに夢中になってしまった…!あ、どうも4周目です() (2021年9月11日 17時) (レス) id: dc97c94e28 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - どうも二週目です。一週目はあんまり理解せずに読んでしまって、面白かったという感想しか浮かんでこんかったけどでも二週目で話をしっかり読み理解しました。主さんの話の作り込みがすごくわかりました。色々と伏線かな?が貼られててそれを最後に回収する。最高です (2021年3月8日 0時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - ゆうなさん» コメントありがとうございます。楽しんで頂けたのが伝わりました(笑) 良かったです! (2021年3月6日 3時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - え、えぇ!!!?!?!なんか、なんか!え、!?凄いです!ほんとにまるで自分がその場で体験しているかのような感覚がして、ドキドガが止まりませんでした!!話の勢いがすごいのにでも文章はとても読みやすく面白い構成になっていて凄く良かったです!w語彙力が (2021年3月3日 1時) (レス) id: 53cc08d6c4 (このIDを非表示/違反報告)
江之子(プロフ) - アキさん» コメントありがとうございます。作者の期待通りの反応で嬉しいです!笑 (2021年3月2日 21時) (レス) id: f8221d30c6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:江之子 | 作成日時:2021年3月1日 22時

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