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『何ですか？』
「前世の記憶があるってことは……一度、死んだってことですよね」
『まぁ……そうなりますね』
「何か、未練は、ありますか」
『え……』
問われたのは、正直予想外な質問だった。
未練、未練か。それを考えた時期も、確かにあったような気がするけれど。
『うーん……両親を、残してしまったことでしょうか』
「……」
『私、事故だったんですけど。正直当時のことはよく覚えていなくって。……弟も一緒に居たんですが、そのこと自体も実は曖昧なんです』
「……。そうですか」
事故だったということは何となく分かるんだけど、どんな事故だったのか、そもそも何故弟と一緒に居たのか、その経緯すら覚えていない。
他の日常だとか、どんな暮らしだったのかは思い出せるのに、その瞬間のことだけはどうにも。
気付いたらこの世界に生まれ落ちて、ただ一生懸命に順応しようとして。
あぁ、両親に先立ってしまったんだなぁと妙に得心がいったのは、一般的に物心ついたといわれるような歳にまで成長してからだった。
『……だから、ショッピさんが心配するようなことは何もありませんよ。今はもう、大事な家族もいますし』
本心を言ったつもりだったのだけれど、彼は深刻な表情で口を引き結んでいた。
「すみません、あんたが命を終えたときの話なんて。無粋でした」
『……ふふ、大丈夫ですよ』
軽く笑うと、ショッピさんは私の頭を引き寄せて、自身の肩に乗せた。
どき、と心臓が鳴るが、優しく髪を撫でる手に、やがて安心感を覚えて目を閉じる。
「寝ててもええですよ」
『……はい』
「今夜はずっと、ここにおります。……誰かさんが、先輩風吹かせてくれたんで」
『ふふっ……コネシマさん、後輩思いな方なんですね』
「……やめてください」
照れたのか、拗ねたのか。
ショッピさんは少しだけそっぽを向いて、ぶっきらぼうに吐き捨てた。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
