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『――そ、うですか』
きっと、それはちょっとした冗談だ。だってこんな小娘の一言で、王族が兵を引き連れてやって来る道理がない。
私の意思とか、懇願とかは関係なしに、彼らは王都から助けに来てくれたんだ。
『(良かった……)』
そう思わずにはいられない。
これで少しでも、打開の糸口になるなら。
そしてまた夜になり、竜の間に戻って来た顔ぶれの中に、またしても驚くべき人物を見つけてしまう。
『お兄様……！？』
「やあ、A、無事で良かった」
ショッピさんと並んでこちらへ歩いてくる兄を呆然と見つめる。
彼はあのあと、自身の伝手を使って私兵を集め、城の兵に混じって進軍してきたのだという。
私もそうだという自覚はあるが、この兄も大概無茶をする人なのだ。
「君が、竜に乗った
『あー……あはは』
「そしてその犯人は、君だそうだねショッピ君」
「……それほどでも」
「褒めてないんだなぁこれが」
『(意外と仲良くなりそうだな……)』
私を挟んで言い合う二人だが、以前よりもショッピさんが優勢なようにも見えた。
「……A嬢、その手」
『あ……これは、その』
「また何か、しでかしたんですか」
『えぇと。うーん……』
――改めて思い返すと、殿下に矢を向けたんだよね、私。
あのときは気が動転していたけれど、もし実際に殿下に傷をつけていたらと思うとぞっとする。
『そう考えると、この傷はある意味、勲章ですね』
だって、殿下の代わりに怪我をしたんだし。
「はぁ？ 何を訳の分からないことを」
『……こっちの話です』
私の手に巻かれた包帯を見ては眉を寄せる彼は、やがて大きく息を吐いた。
「でも、これでやっと、こっちが優勢になりました」
『はい』
「もうすぐ終わりますよ」
『……はい』
殿下の言う後続の援軍がまだこの後も来るのだとしたら、状況はますます優位に傾くだろう。
そうしたらあとは時間の問題だ。何事もなく、無事に終わってくれれば。
まだ安心するのは早いけれども、どうしても胸を撫で下ろさずにはいられなかった。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
