46#あどけない不安症 ページ11
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「――とんなぁ……」
「へい……すねぇ」
『(……。ん……？)』
「――あれやな、写真に収めたいな」
「シャシン？ 何なんそれ」
「都会で出回っとる、映写機？ って奴でしょ、確か」
「ふむ、今度兄さんに言って取り寄せてもらうか」
『なっ……み、皆さん……！』
「あ、起きてもーた」
すぐ近くで聞こえていた声に目を開けると、何と数人の男性陣がこちらを覗きこんでいた。
寝起きにはちと心臓に悪い光景だが――改めて確認してみると、オスマンさん、ゾムさん、エーミールさん……って、グルッペンさんまで何してるんですか。
またも言い募ろうと口を開きかけた私に、オスマンさんが茶目っ気ある笑みで、しー、と人差し指を立ててみせる。
つられて口をつぐんで、彼の視線を追うと。
『(あ……寝て、る)』
寝ててもええですよ。そう言って私を寝かしつけたはずの彼が、私に凭れかかって寝息を立てていた。
それに気付くと、彼から与えられる重みが現実的なものとなり、急速に愛しさが込み上げる。
「よーお寝とんなぁ。ぐっすりやわ」
「……まさか、ショッピ君が一番に出世するとは」
「ドンマイ、エミさん」
「なっ……べ、別にそんなつもりで言ったんじゃ――」
小声で繰り広げられる口論に笑ってから、再び彼へと視線を向ける。
いつもは意地悪な瞳が伏せられているせいか、静かに呼吸を繰り返す様子はあどけなくて何だか可愛らしかった。
もっと見ていたいなぁ、とも、もちろん思うが。
『もう、朝ですか』
「……あぁ。そろそろ夜が明ける」
竜の間に、そわそわとした緊張感が漂い始めているのに気付いた。
ふと竜たちに目を向けると、彼らは忙しなく身繕いをしていて、今にも飛び出していきそうな雰囲気だ。
『……』
――本当は、彼が起きるギリギリまで見守っていたいけれど。
「A嬢？」
こちらに預けていた体重を押し戻して、そっと壁に凭れさせる。起きてしまうかとヒヤリとしたが、ショッピさんは僅かに眉を寄せただけで、またすぐに寝息を立て始めた。
今まであまり眠れなかったんだなぁ、と少しだけ胸が痛む。
毛布を掛け直してやってから、私は竜王の元へと駆け寄った。
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クロエ(プロフ) - ありがとうございます！！！！！！ (10月8日 4時) (
レス) id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
クロエ(プロフ) - どうしてこの話がまだまだ伸びないのか疑問すぎる！！なんだか分厚い辞典でこの小説欲しいくらいなんか好きです！！！！！！最初の出会いからこの話の終わりまでずっとニマニマしちゃって覚醒の時なんかボロボロ泣いちゃいました！！めっちゃいい話を書いてくれて (10月8日 4時) (レス) @page33 id: 3d0234bb1d (このIDを非表示/違反報告)
妖々梅雨里(プロフ) - 最初から、最後まで。主人公の感情にこちらも身を乗り出してしまうかと思うくらい入り込めました。最後にはつい感極まって泣いてしまいました。素晴らしい作品をありがとうございます!!! (2021年12月25日 23時) (レス) id: f5b2ce54f6 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - とても素敵な物語でした…語彙が乏しいことにここまで後悔する日が来ようとは…!!1冊の小説を読んだ気分です。本当に本当に素敵な物語をありがとうございました！！ (2021年4月6日 23時) (レス) id: 31e2beb33a (このIDを非表示/違反報告)
つ旦(プロフ) - ここ最近で一番作品の世界にのめり込んでしまいました。距離感や環境に心温まり、ストーリーを読むにつれて心満たされていく感覚が最高でした。素敵な作品を書いてくださり本当にありがとうございます。 (2021年2月1日 17時) (レス) id: 4806c4a672 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：江之子
| 作成日時：2020年6月25日 2時
