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ごめんな【中也side】 ページ7

俺は可愛い猫を飼っていた。
シルバーの毛に、ぱっちりとした碧い瞳。
呼んでやると、にゃあと可愛らしい声ですりすりと俺の足に絡んで来て…

五日前も、そうやって可愛がってやるつもりだった。
だから飯も一日分置いて行ったし、風呂にいれてやらねばと考えていた。
なのに、その日の任務で俺は重傷を負った。
目が覚めたのは先刻だった。
早く飯をやらなければ。
腹を空かして待っているだろうから。
嗚呼、早く帰って世話を…。
まだ寝ておれと云う姐さんの静止を振り切って、包帯を巻いたまま外に出た。

足下に、此処にいるはずのない奴が倒れていた。
手足は傷だらけで、雪に濡れたのか身体も冷えてしまっている。
あの距離を、どうやって…!!
年も取っていて、それだけで苦しいだろうに、なぜ此処に…。

「ごめん…ごめんな…」

涙が溢れて止まらなかった。
小さな身体を抱き上げて、耳元で謝罪する。
謝っても許されない。
俺は此奴に酷い事をしてしまった。

すると、口をぱくぱくさせて、あの美しい瞳で俺を見つめる。

「…ァ…」

そしてそのまま事切れた。

…そうか。
手前は、幸せだったか…。

「ごめんな…」

もう一度そう言って、笑った。
此奴と出会った、あの日の様に。

手の中で失われた命の器は、大丈夫だとでも云うように微笑んでいた。

あとがき→←私は幸せ者



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なぴあ - すごく面白かったです〜!!! 猫も中也も好きなので幸せでした(泣) これからも頑張って下さい!!! (2022年3月11日 16時) (レス) @page8 id: bc58708f8e (このIDを非表示/違反報告)
しぇるふぃあ。 - 既存の作品をもとにした二次創作なのでオリジナルフラグを外してください。多分低評価もそれが原因かもしれません。 (2018年4月9日 20時) (レス) id: 2fca820d76 (このIDを非表示/違反報告)
ぶどうしゅ(プロフ) - はじめまして!!この話をよんで思わず涙が零れそうになりました。これからも頑張って下さい (2017年12月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 7cee4984be (このIDを非表示/違反報告)
りんご - (涙) (2017年3月24日 14時) (レス) id: 0e268ef785 (このIDを非表示/違反報告)
らいむ@エミリア(プロフ) - おさるさん» ありがとうございます!感動して頂けるものが書けたかどうか不安だったのですごく嬉しいです・・・!!これからも頑張ります!! (2017年2月15日 0時) (レス) id: 484db0ba6e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らいむ@エミリア | 作成日時:2016年12月31日 23時

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