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藤原啓治さん ページ3

その知らせは、あまりにも突然だった。


「え……啓治さんが…………。」


だから、信じられなかった。


その人は、僕にとって恩人だから。



ーーーーーーーーーーーーーー
これは今から約20年前。


僕がまだ10代の頃。


僕は物心つく前から芸能界にいた。


モデルとしてそこそこやっきた。

でも俳優としてはまだまだで、同じ年代の役者がどんどん売れていく中で取り残されている焦燥感が確かに僕を追い詰めていた。


今なら、ただ僕に合っていない努力をしていたからだとわかるけれど、当時はそんなことに気づいていなくて、どんどん自分を追い詰めて、

自分の演技に自身が持てなくなっていた。


.


そんなとき、啓治さんと共演する機会があった。



「カット。白瀬さんリテイクお願いします」

「っはい!お願いします!!」


嗚呼。また僕だけがリテイクだ。


また僕のせいで皆さんに迷惑を掛けている。


どうしよう。



どうしよう。





やっと、その日が収録が終わったその時だった。

「白瀬ー!!昼飯いくか!!」

啓治さんが声を掛けてくださった。


もちろん断るわけもなく、連れて行ってもらった先は、どこにでもあるような懐かしいような料亭だった。


「女将。久しぶり、個室空いてるか?」

「はい。空いてますよ。あら、そちらははじめましての方ね?」

啓治さんの御用達らしく、親しげに女将と話していた。

「はい!はじめまして!白瀬Aといいます。よろしくお願いします!」


「ふふ、白瀬くんね。

珍しいわね、藤原さんが誰か連れてくるなんて」


女将の言葉に啓治さんを見ると照れているようで、ふいと顔ごと逸らされた。

その少年のような仕草に、つい笑ってしまって
頭を小突かれたのもいい思い出だ。


「それで、何を悩んでるんだ。白瀬。」

「え?」

「悩んでるだろ、最近ずっと暗い顔してる

飯も食ってないんじゃねえか?」

見た目よりもずっとやさしい瞳で、すっと僕の心を見透かすように見つめられた。

それで、今までの緊張の糸がぷつっと切れて、安心して、恥ずかしいことに僕は、啓治さんの目の前でボロボロ泣いた。

そして啓治さんに話を聞いてもらった。

たどたどしくて支離滅裂な言葉だったけど、啓治さんは最後まで聞いてくれて、

「なんだ。そんなことで悩んでたのか」


「お前には才能がある。どんな役にもなりきれる」


「頑張りすぎたんだよ、おまえ。」


「人が成長速度は人それぞれだ。ゆっくりでいい。

だって、まだ10代だろ?」



「辛かったな」


って、そう言ってくれた。

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ねこ吉(プロフ) - 水飴さん» リクエストありがとうございます!素敵なリクエストありがとうございます!承りました! (2020年10月12日 16時) (レス) id: 16540508a0 (このIDを非表示/違反報告)
水飴 - いつも楽しく読ませていただいています。突然ですがリクエストを書かせていただきます。声優イベントで櫻井孝宏さんにすごく可愛いがられて白瀬くんが照れるという場面を書いて欲しいです。ねこ吉さん書いてくれると嬉しく思います。これからも頑張ってください! (2020年10月11日 13時) (レス) id: 2f4d461ab5 (このIDを非表示/違反報告)
ねこ吉(プロフ) - なっちんさん» こちらこそリクエストありがとうございました!お待たせしてしまってすみません、待っていて下さってありがとうございます!続編もよろしくお願いします!! (2020年10月6日 23時) (レス) id: 16540508a0 (このIDを非表示/違反報告)
なっちん - リクエスト書いてくださりありがとうございました!良平さんも白瀬くんも可愛くて萌えちゃいました!続編も頑張って下さい! (2020年10月6日 23時) (レス) id: 5a91176173 (このIDを非表示/違反報告)
なっちん - ありがとうございます!よろしくお願いします! (2020年9月22日 11時) (レス) id: 5a91176173 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ねこ吉 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/emiri04251/  
作成日時:2020年4月13日 23時

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