悪夢の始まり ページ39
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「……着いた」
──届いたばかりの日輪刀を携え、辿り着いたのは寂れた廃村だ。十年ほど前に行方不明者が続出して、人が居なくなってしまったという町。
そして、先生たちが住んでる町の隣町でもある。
「あそこは、鬼に縁でもあるのかな……」
今度手紙で引越しでも勧めてみようかと考えつつ、私は足を踏み入れる。
「この子の言う通りなら、他にも隊士がいる筈……」
他の隊士と合流して、鬼を討伐すべし。そう繰り返し口にする鎹烏の声を聞きながら周りを見渡せば、廃屋の影に、若草色の羽織の男の人を見つけた。
って、あれ。あの人は……
「
「え? って、Aちゃん!」
──最終選別で知り合った、私の同期の一人だった。
***
「他の隊士って、十薬さんのことだったんですね。二人がかりでの任務……。余程の強敵か、それとも複数の鬼が相手なのでしょうか」
「……え、あ、そうだよな、きっとそうだ!」
「? 他に何か理由が……」
「何でもない! 何でもないんだ!」
真っ赤な顔で否定する十薬さんの頭を、彼の相棒であるのだろう鎹烏が突いている。随分痛そうなのだけど、十薬さんに気にした様子は見られない。これぞ、信頼関係……?
「そ、それより! 鬼が潜んでるのは、この町の近くの山だろう。もう日も暮れてるし、鬼を探しに行かないか?」
「……それも、いいと思うんですけど。あの、もし良ければ!」
「ん?」
私は一つ、提案をした。
「隣町で、情報収集というわけにはいきませんか? 多分今日はもうこの町を通りかかる人もいないでしょうし、それに何か、」
……違和感が、あった。
十薬さんの言う通り、今はもう夜も深い。鬼の時間だ。
それに廃村になったこの村では、それこそ食料──人間の訪れる時なんて限られてる。だから、そこかしこから飢えた鬼の目線を感じてもいい筈なのに……それもない。
「……よく分かんないけど、俺は君に従うよ」
「えっ?」
「どうせ、救われた命だ。それに君は、俺よりずっと強くて賢いみたいだし」
ぽん、と頭に手が置かれる。
「思う存分、こき使ってくれ」
「っ、ありがとうございます!」
その後、私たちはすぐその廃村を発った。一般人ならともかく、鬼殺隊士にとっては大した距離でもないその道を走った。
──辿り着いたその場所は、私が発った時とほぼ違いはなくて。
人も家も、大きな変化は見当たらないまま──……
「え……?」
──その全てが、
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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです! わかりにくくてすみません!汗 (2020年3月30日 6時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください!楽しく読ませていただいてます! (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します!面白くて一気に読んでしまいました!私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます!嬉しすぎて顔がにやける……!これからもよろしくお願いします!! (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドジ猫 | 作成日時:2019年12月19日 0時