幸せのカタチ ページ33
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──家族の居ない世界で、それでも生きて、他に愛する人を見つけて、幸せになる。
「……弟と、約束したんです。幸せになるって。だから……」
ほぼ無意識のうちに耳飾りを握り込みながら、私は俯いた。
さらりと肩から流れ落ちる髪を見て、ふと。この髪型も、炭治郎たちが望んだものであったことを思い出す。
皆、私の髪が風に吹かれるさまをよく気に入っていたから。
だから、家事の邪魔にはなったけど、私は母さんや禰豆子みたいに、後ろできっちり纏めることはしなくなったんだ。
──私の世界の中心は、いつだって家族の皆だった。
鬼狩りの道に進みたい。それが、守れなかった家族への贖罪になると思うから。
平穏な日常を手放してはいけない。それが、弟の最期の望みだから。
「う〜ん。取り敢えず、Aちゃんは旅に出ることが不幸だと、そう考えているのかしら？」
「それは、」
肯定しようとした口を閉じる。少なくとも、一緒に甘味を食べた時のカナエさんやしのぶさんの笑顔は、曇ってなんていなかった。でも。
「確かに、苦労も多いと思うわ。辛いこともあるでしょう。でも、それだけじゃないんじゃないかしら？」
「っ────…………！」
酷く、心が揺さぶられる。
憎くても、恨めしくても。それでも慈悲の心を忘れずに。
辛くても、苦しくても。それでも前を向いて生きていく。
──幸せに、なるために。
そうだ。そう決めた。例え立っている場所が変わったって、そばにいる人が変わったって、それだけは変わらない。
どんな道に進んでも、約束を忘れたりなんてしない。なら、何も今と変わらない。
鬼殺の道に進むことと、炭治郎との約束を守り続けること。それは、決して相反することではない。
なら。
(……選んでも、いいのかな)
「……母上」
「なあに、Aちゃん」
「今までお世話になったのに、その恩を返せないまま家を出ることになって、本当にごめんなさい。
……でも、私は、カナエさんたちについていきたいんです」
「ええ。
……いってらっしゃい、A」
「っ、……いってきます、母上」
完全に染まりきった空が、感傷にひたる間を与えてくれない。丁度帰ってきた先生たちにも手伝ってもらって、急いで私は身支度を済ませた。
「“またね”、誠司」
しばらく会えないだろう眠ったままの弟を手を握って、そう呟く。
「“お姉ちゃん”、頑張るから」
──必ずここに、帰ってくるよ。
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ドジ猫(プロフ) - 絵宙(えそら)さん» 一応、炭治郎の髪ってことで炭治郎本人は数に入れてないです！ わかりにくくてすみません！汗 (2020年3月30日 6時) (
レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
絵宙(えそら) - ページ5の「込められた想い」では、弟の数は、茂、六太、竹雄、炭治郎(漢字が違うかもしれません)で、四人だと思います。細かくてすいません。これからも頑張ってください！楽しく読ませていただいてます！ (2020年3月30日 3時) (レス) id: 63faa5bcfc (このIDを非表示/違反報告)
由亜(プロフ) - とっても面白いですね!一気に読んじゃいました。寝転びながら読んでたんで、シーツの一部分になみだのしみが・・・(泣きました)これからlet's続編で御座います!面白い小説を有難う御座いました (2020年2月24日 4時) (レス) id: d2128f7714 (このIDを非表示/違反報告)
タートル(プロフ) - 失礼致します！面白くて一気に読んでしまいました！私も鬼滅のお話を書いているので良かったらお越しください。 (2020年2月19日 20時) (レス) id: 77bb05bd52 (このIDを非表示/違反報告)
ドジ猫(プロフ) - なるは。さん» ありがとうございます！嬉しすぎて顔がにやける……！これからもよろしくお願いします！！ (2020年2月16日 22時) (レス) id: a192f6ddb7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ドジ猫 | 作成日時：2019年12月19日 0時
