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「私も好きだよ。だけど、北山先輩のことを好きなのとは違う…」

「何がどう違うんだよ」

「…自分でも、わかんないよ」
「そんなの、好きって言えんのかよ…」

「私だってやめたいよ。北山先輩を嫌いになれるならなりたい。一生報われないならこんな恋やめたい、」

「だったら!もう、やめなって……」


二人の声が、震えながら苦しくぶつかり合う。



「北山先輩のこと、好きにならないでいられたらよかった」



叶わない恋になるってわかっていても、Aを好きにならないでいられなかった。

好きになった自覚もなく、気づいたらそうなっていた。


Aの隣にいるだけでいいなんて、そんな言い訳をしながら。



「……衣月先輩が生きてたら、諦められたかもしれない。こんなふうに北山先輩を好きじゃなかったかもしれない。憧れだけで終わってたかもしれない」



Aがミツを好きな気持ちは憧れだけで終わらせられるほどのものじゃないなんて、ずっとAの隣にいた俺が一番わかってた。


「きっと、その方がよかった」

「A、」


「…その方がよかったに決まってるよ。そうだったらよかった。衣月先輩が生きてたらよかった。どうして、どうして……いなくなっちゃったんだろう…生きていてほしかった。ずっと。」



そうだね、そう呟いたつもりの自分の声がちゃんと声になっているのかわからないまま、Aが漏らす小さな嗚咽を聞きながらそこに立ち尽くしていた。



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作者名:EM | 作成日時:2021年10月16日 3時

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