そばにいさせて～changmin～ (ページ25)

今日:3 hit、昨日:26 hit、合計:279,041 hit

静かなバン～changmin～ページ25

今日はマンションまでの道のりを三橋が運転していて、運転手との会話がない車内は静かだ。

ユノは前の席で音楽を聴いていたが、今は片方の耳からイヤホンが外れていることにも気付かず、ぐっすり眠っているようだ。

チャンミンは1番後ろに座り、じっと、窓の外を流れる景色を眺めている。

たまに顔を照らす明るい光にも反応しない。

チャンミンはずっと、スタジオでのことを思い出していた。

あの時、Aはチャンミンに触れたいと思っていた。

チャンミンが求めるように、Aもまたチャンミンを求めていた。

それはAの眼差しからも温もりからも、表情からも、手に取るようにわかった。

何度もチャンミンを呼び、チャンミンに触れ、かわいいと言った。

あの時見上げた顔は本当に美しかった。

眩しくて、もっと近くにいきたいと感じた。

Aの声を大好きだと思った。

そして、声だけではない。

A自身を好きだと、心から思った。

Aのために何でもしてあげたい。

泣いていたら涙を拭いて、嬉しい時は一緒に喜んで、悲しい時は優しく包んであげたい。

ただただそばにいて、Aを幸せにしたい。

素直な気持ちが溢れた。

そしてAも、チャンミンを好きだと言った。

チャンミンへの想いが詰まった涙を流して、好きだと言ってくれた。

幸せで、泣きそうだった。

気持ちは一緒なんだと、嬉しくなった。

でも、今は違う。

急に離れた温もりに、寂しさを感じた。

撮影のことをよく覚えていないと言うAに、悲しくなった。

それくらい、無我夢中だったんだろう。

でも、チャンミンが好きだと言ったことも、チャンミンに好きだと言ったことも、覚えていないようだった。

自分だけ舞い上がり、気持ちが通い合ったと思っていたのか。

撮影だけど、チャンミンにとってはそれだけじゃなかった。

1人の男として、Aの前にいたのだ。

『はぁー。』

ため息をつくのは、もう何回目だろう。

モヤモヤした気持ちを抱えたまま、チャンミンは目を閉じた。