fin ページ39
帰ってきたオッパと店の外に出たけど
ダジュンが家からクラウチングスタートを切ってから多分、15分くらいしか経ってない。
「第三者の俺がみてもうけるくらいには、お互いのことしか見えてないから安心しなね」
こんな寒い中、一緒にダジュンのためのゴールテープ持って待っててくれるオッパは
やっぱり優しいお兄ちゃんだった。
突き刺すような寒気も相待って、なんだか無性に泣きたくなったところに
「俺結婚するから、あんまりお前たちばっかに構ってもいられなくなるからね」
追い討ちをかけるような言葉が頭にゴーンって響いた時、ヘロヘロになりながらこちらに向かってくるダジュンの姿が見えて、もうダメだった。
はや〜って笑いながらゴール間近のダジュンに手を振ってる、撫で肩気味のその背中にへばりついた。
「、おっと、浮気？」
『…嬉しくて吐きそう』
「もっと上品な言葉選びなさいよ笑」
向きを変えたオッパが私を引き剥がした時、なんとも不憫なタイミングでゴールテープを切ったダジュン
案の定、プンスカしてるけど
ゼーゼーしすぎて噛みつく余裕もなさそうなのがラッキーだった。
『お疲れ様、ありがとねきてくれて』
膝に手をついて息を整えてるダジュンの頭をポンポンしたら、最後に盛大な咳払いをしてから起き上がったその無駄に整った顔、鼻の下が伸びまくってる。
「…Aさぁーん、んは、あはは」
手を広げた私の右腕に猫みたいに擦り寄ってきたダジュン。
私がこの猫ちゃんに対して手を広げたこと自体、我に帰った瞬間恥ずかしくて叫びたくなるほどではあるけど
本人がえらい嬉しそうにんふんふ楽しそうに笑ってるから、一旦よしとしよう。
『怖可愛い』
「残念ながら22分かかったね」
「…ヒョン嫌い」
私とオッパの間の空気を、何度も何度も手で切ってるダジュン
『寒いからやめて』って言ったらすぐに辞めてシュンってなった。
「よしよし。お前たちも順調だし、俺も安心だわ」
『ご迷惑おかけしました…』
「A、こいつをよろしくね」
『うん』
「じゃあダジュン」
「大事な妹のこと、頼んだね」
方向が違うから、店の前で別れた私達。
なんか今日のバイバイは、もっと意味が深いものに思えて
相変わらず突き刺すような寒気と、右腕にまとわりつく重さと体温とほんのり香るお酒の匂い
全部大事に大事に抱きしめていこうって、そう思った。
「Aさんー、帰りましょ」
『１週間禁酒ね』
「え、」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 287人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シャム | 作成日時：2024年11月19日 3時
