寒い日 ページ2
A side
『ひぃ〜寒い〜』
「氷の呼吸の使い手の癖に」
『それ関係ないから』
今日はふたり揃って珍しく非番が重なった日。こんな雪が降りしきる中、任務がなくて良かったと最初は思っていたが、逆に動かない事が逆撫でして、今や鳥肌と身震いが止まらない。
今日はむしろ任務があった方が良かったのかもしれない。そう思うと今日任務があると言っていた不死川さんと伊黒さんが羨ましく思えてしまった。
「今日はむしろ動いた方が良かったね」
『そうみたい……』
非番のため隊服ではなく着物。その上に愛用している羽織と、さらにどてらをかぶせても寒くてたまらない。足はこたつの中だからまだ温かいが、上半身はもうそろそろ限界を迎えそうだ。
それなのに、目の前の彼はまるで寒さを感じていないようなケロッとした顔でこちらを見ている。
寒くないのかな。私そろそろ限界なんだけど。
『無一郎寒くないの?』
「んーどうだろうね〜」
『なにそれー……あっ!』
「ん?どうしたの」
彼の言葉を無視して、羽織とどてらを脱いでこたつの中に潜り込む。霞柱邸のこたつは下に掘り下げられていて、椅子に座った時のように膝を曲げられるような作りになっているため、私や無一郎ぐらいの身体の大きさだったら1人か2人ぐらいはすっぽり入れる程の大きさがある。
「何してるの」
『あったかいよ!無一郎もおいで!』
足にかかった布団をめくって中を覗き込んできた無一郎。来るように促すと、よいしょ、と言ってゆっくり中に入ってきた。
「ほんとだ、あったかい」
『ねー』
冬場だからか乾燥するこの季節はとにかく静電気がすごい。私の髪は入った時の静電気でぱちぱちと音を鳴らしてるのに、正面に座っている彼の髪はまるで何もなかったようにさらさらで綺麗のまま。
無意識に彼の髪に触れた。
『無一郎の髪はほんとに綺麗だね。さらさらしてて羨ましい』
足元の暖房の橙色の明かりだけの、少し薄暗いこたつの中。もっと近くで見たくて顔を近づけた。
『好きだよ、この黒髪。いつ見ても引き込まれそうなくらい見惚れちゃう』
「ほんと?僕だってAの髪、好きだよ。それに、」
綺麗な彼の髪に向けていたはずの視界が急上昇した。
同時にちゅっ、と唇に優しい柔らかい感触。
『……ぇっ、?』
「Aの事も大好き」
くすっ、と妖艶に笑う彼に、こたつの熱も相まって顔がさらに熱くなるのを感じた。
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霞桜 - 頑張って下さいね応援してますよ (2022年5月4日 0時) (レス) id: f3badad1aa (このIDを非表示/違反報告)
霞桜 - 無一郎推しです めちゃくちゃ最高ですね私は想像豊か過ぎるので余計に嬉しいです… (2022年5月4日 0時) (レス) @page16 id: f3badad1aa (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - いろはさん» ありがとうございます!不定期ではありますが定期的に投稿できるよう頑張りますね! (2021年1月15日 23時) (レス) id: 2a5e6a7f23 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - これからもがんばて下さいね (2021年1月15日 22時) (レス) id: 7954c2eb45 (このIDを非表示/違反報告)
いろは(プロフ) - むいくん甘甘で可愛い~ (2021年1月15日 22時) (レス) id: 7954c2eb45 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:藍 | 作成日時:2021年1月12日 21時