たまには ページ8
「ちゅーして。」
『ちゅ、…は？え？えっ、と、どした？』
いつものように２人でソファーに座って、
思っている事を素直に口にしてみれば
今まで私そっちのけで編集をしていたカンタくんは
驚いた顔で私に目を向けた。
「だから、ちゅーして！」
私だって、こどもみたいに甘えたい時もある。
普段はそう思っても、迷惑かな、とか
めんどくさいかな、とか理性が働いてしまって
結局無かったことにしてしまうけれど。
今日は、違った。
寂しいとか、構ってほしいとか、
そんなんじゃなくて。
ただ、本当に純粋に、わがままを言いたくなった。
動画にするならば、
【検証】いつも控えめな彼女が突然
わがままになったらどうする？！
こんな感じ。
「ちゅーして！ぎゅってして！好きって言って！」
検証なんだから、とことんやらなきゃ。
そう思うと、口が止まらなくなる。
『や、えぇ？？！…A、ちょっと、ね？
いったんさ、落ち着こ？？どうしたの？？！』
カンタくんは、いつもと違う私に
戸惑いを隠せないみたいで、
焦りが見える声と表情で私の肩を撫でながら、
私を必死になだめている。
「やだ、ちゅぅしてほしいの！
頭なででほしいの、！いっぱい手も繋ぎたいし、
デートにも、もっといきたい、し…っ」
あれ、
「ずっと、そばにいてほしい…、し
私をいちばんに、してほしいし、っ」
『A、』
なんで私…
『A…、っごめん、ごめんな、
こんななるまで気づいてあげられなくて、
ほんとごめん、！』
カンタくんの手が、私の頭を優しく撫でる。
これは、ただの検証で。
ちょっと困らせてみたかっただけなのに。
こんなの…っ
「ゃ、っ…ちが、くて」
『ごめんなぁ…、こんな泣かせて…』
気づけば、私の目からは
ぽろぽろと涙が溢れて止まらなくなっていた。
そんな私から離れず、抱きしめ、
背中をあやすように撫でてくれる、カンタくん。
その優しさにまた涙が出てきて、
カンタくんの肩口は私の涙でびしょびしょだった。
『これからは、もっと思ってる事言っていいから。
溜め込ませて、泣かせるのは絶対に違うし、
Aの事、俺が幸せにしたいと思ってるから。
それと…』
―――――――――――
『わがままなA、めちゃくちゃかわいいよ。』
涙を拭うように、目尻に落とされたキス。
それは、今まで感じた事がない
幸せなキスだった。
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雫(プロフ) - 秋ノ宮紅音さん» ご指摘いただき、ありがとうございます！！すぐに対応いたします！ (2017年11月27日 16時) (
レス) id: b757b26083 (このIDを非表示/違反報告)
秋ノ宮紅音(プロフ) - 実在する人物なので、オリジナルフラグを外した方がいいですよ！違反報告されます。 (2017年11月27日 16時) (携帯から) (レス) id: 665a044116 (このIDを非表示/違反報告)
スイ(プロフ) - うわわ、すごく素敵なお話ですね！更新待ってます！！ (2017年10月21日 23時) (レス) id: 77c9f3f671 (このIDを非表示/違反報告)
みう(プロフ) - すごくおもしろいですね！次のお話もたのしみにしてます！ (2017年9月17日 20時) (レス) id: 59969ce0cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雫 | 作成日時：2017年9月1日 9時
