備忘録 (ページ25)

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「翔くん？」

ある日の昼間、仕事を病室に持ち込み作業をしていると声をかけられた

「これ、知ってる？」

「…あぁ、知ってるよ」

見せられたのはニノと智くんが連れて行きたいと言っていた水族館

「水族館好きなんだー高校の修学旅行で行ったの覚えてる？」

「覚えてるよ」

「あれ、本当に感動してさーあれから好きなんだよねぇ」

「行きたい？」

「いや、無理だよ。…それぐらい俺も分かってる。仮にも医者だから。」

「…そうだな」

そうだ。潤も医者なのだ。

きっと潤なら、この状況で外出許可は出さない。

「…翔くん行って来てよ」

「は？」

「翔くん行って写真撮って来て？」

「いや、それじゃあ、」

「動画もね？あとお土産も！」

「…潤」

「…俺の代わりに。」

「それなら、5人で一緒に行こうよ…」

「そんなこと言って、外出許可出してくれるんですか担当医さん？」

「それは…」

「俺はちゃんと分かってる。今外に出るのは危ないって。、だからこれが最善策だよ」

飄々と喋る潤に返す言葉がない

潤の言う通りだ

それ以外の案が出てこない

でも本人に言われちゃあなんとしてでも連れてってやりたいと思うのが人間

「考えとくよ」

そう言い残して病室を後にした