備忘録 (ページ22)

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「口開けて」

ほんの小さく開いた口におかゆを入れる

「もう一口」

「おいしい？井上さん鮭入れてくれたって。」

「わかんない…身体痛くて…」

「そっか…」

これだけ調子が悪い日だと会話も弾まない

早く薬を入れてやろうと食事も急ぎ足で終わらせる

「よし、薬入れよう。ちょっと痛いよ」

「…っ」

「しばらくしたら効いてくるからね」

「ありがと…」

机に顔を突っ伏して小さく唸り声を上げる潤

顔の机の間にタオルを挟んでやり
身体を優しく撫でる

体が痛い日は全身痛む様で、足先から頭まで順に優しく撫でる

「…し、…たい」

「ん？もっかい言って？」

「あし、…いたい」

「足か。わかった」

ホットタオルで包む様に足をほぐしてやると肩の力がぐっと抜けるのが分かった

そのまま足を撫で続けていると、規則正しい呼吸と共に眠りについた

「やっほー」

「あ、智くん…ごめん、今寝ちゃったところ」

「あぁそっかぁ…まあいいや、ここでやる」

「うん。ゆっくりしてって」

イラストレーターをしている智くんはここに勤めてから知り合った友人

「もう時間も無いし。ひとりでいいの」

なんて、言っていた潤の病室には本当に誰も見舞いに来る事はなく
翔と看護師が出入りするのみだった。

「ひとりでいい」とは言いつつも、なんとか出来ないだろうかと声をかけたのがこの地で出会って仲良くしていた智くんとニノと相葉くん

相葉くんはこのクリニックの小児科の看護師
として働いていた。

4人はすぐに意気投合し、智くんとニノは潤の病状や今のこの現状もすぐに受け入れ理解を示してくれた

そして今の様に、自分の家同然で出入りをし
好きに喋って、好きな事して、帰って行く

潤もやっぱり嬉しいみたいで
入院当初に比べると笑顔が格段に増えた