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いや、ボトルを持ってきて本当に良かった。
一口飲んで、きゅっと蓋をする。
飲み下す音が妙に大きく感じられて、緊張している自分に笑えてきた。
どうしよう。
やっぱ、戻るか？
いやいや、不自然すぎるだろ。
どこかぎこちない空気が流れてた。
「・・・縦スクロール、ですね・・・」
彼の口からポツリと零れた言葉。
「縦スクロール？それってコレの事？」
空を指せば彼の頬骨が少し上がった。
「良くわかりましたね。大抵、なんの事って聞き返されるんだけど。」
「や、なんとなく・・・？」
ふふっと声に出して笑った彼は、小さく嬉しいなって呟く。
話したことで緊張が解れたのか、雨の匂いを初めて感じた。
街の音。
少しだけ煙る視界。
頬を撫でる空気が心を癒していく。
縦スクロールの彼はゆったりと紫煙を燻らせていた。
肌の色も瞳の色も淡くてとにかく絵になる。
伏せた目元が色っぽいな・・・
「あの、何か用でも？」
不意に話しかけられて、肩がピクリと跳ねた。
「違ったらごめんだけど、見られてる気がして。」
彼に言われて、気づく。
結構長い時間、見とれていたことに。
「ぃやっ、あのっ・・・その、俺、色々煮詰まってて。
も、もし良かったら、その、ア、アドバイスとか貰えないかなって・・。」
不審げに寄る彼の眉を見て、更に焦る。
「さっきの縦スクロールってのが、珍しいっていうか。素敵だなって。
その、発想が新鮮っていうか。
だから・・・！」
ああ、俺、何を話しちゃってるの？
そもそも人見知りのはずだろ？普段のオレはどこ行った？
唯一の救いはその人が茶化しもせずに黙って聞いてくれていること。
「だから、その・・・・」
言葉が続かなくなった俺に、慣れた動作でポケット灰皿にタバコをしまう。
「アドバイス？私でいいの・・かな？」
「ほんと、すみません。話を聞いてもらえるだけでも助かります。
明日、新作のコンペがあるんですけど、なかなか。
方向性すら決まらなくて。
最近はビニール傘に押されちゃって、性能で勝負出来なくなってるんですよね。」
「ってことは、やまかぜデザインさんって、傘を作る会社なんですね？相葉さん。」
「作るって言うよりも、傘のデザインとかって、えええっ！！」
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ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん、嬉しいコメントありがとう。そうなんです、黒須の役目はノコルのお守りであり警護なのだと思っています。叱られノコル、気に入って貰えて嬉しいです。私も好きなシーンです。 (10月4日 18時) (
レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
ねこにゃん(プロフ) - ちえさん、第2弾ありがとうございます！ノコ黒の距離感、縮まってる気がします〜〜。ラストの叱られノコル、かわいいです💛好物です💛本編では黒須はテントの見張りのようでしたが、ノコちゃんのお守が主なお役目なのかもですね。ありがとうございました。 (10月4日 18時) (レス) @page43 id: e6e2755141 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - あんずさん！いらっしゃいませ。１人佇むノコル、印象的でしたね♡きっと１人背負い込んでしまうと思って…。助けてくれる人がいるよ、という気持ちで書きました。ここは黒須の出番ですよね😁気に入っでいただけたのなら嬉しいです。 (9月25日 0時) (レス) @page38 id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - ポツンとバルカに残されたノコル姫、とっても心配しておりました… 強がって意地張っていても身体は正直ですね(；；) お話にしてくださってありがとうございます！姫を頼んだよ黒須…！ (9月24日 23時) (レス) @page38 id: a42c516e80 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん！早速ありがとうございます。本当に大切に育てられた姫でしたよね〜。ベタベタ甘やかしそうな乃木兄さんと、厳しく鍛えるけど要所は押さえる黒須。いいコンビでした。続編？ええっ？続編はあまり期待しないでくださいね〜(汗)。 (9月24日 18時) (レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちえさん
| 作成日時：2021年4月25日 16時
