summer2-20 ページ42
「おまえさ、アレ、なんで取らなかったの？」
先生はそういいながら、点滴スタンドにパックをかけ、カズさんの腕を消毒して点滴の針を差し込んでいる。
その手捌きは鮮やかで迷いがない。あっという間に針が固定されて点滴が始まった。
「封じたのはしょーちゃん。俺じゃない。」
カズさんは不満顔だ。
「お前にもわかってただろ？」
「・・・」
「しょーは大方、お前がタイミングみて取ると思ってたんだろ。」
「・・・それ、今の俺に言う？」
「だから早く頼れっていってんだよ。人を巻き込むな。」
「・・・」
悲し気な表情のカズさん。そんなにカズさんいじめないでよ。
そう言いたかったんだけど、何だかもの凄く眠たい・・・なんで？
ふわわわ・・・
いや。寝ちゃダメ・・・寝ちゃ・・・・
ZZZZZZZ・・・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
Jun:
隣に座った相葉くんの体がゆらりと倒れ掛かった。
「おっと。大野センセ。相葉くん、寝ちゃいました。」
俺は立ち上がってその体を横にする。
細く見えるけれど、体の芯はしっかりとしていて筋肉質だ。
小柄なカズと違って、ソファーでは頼りない。
「センセ、落っこちそう。」
「そうだな。ちょっと待ってろ。部屋用意してくる。」
大野先生は病室の一つに向かった。
ドスンドスンと大きな音がして・・・戻ってきた。
「マットレス、床に置いてきたからそこに転がそう。お前、足もって。俺が腕もつから。」
「わかりました。んしょっと」
「いや、おもてーなー」
大野先生と二人で相葉くんを運ぶ。
申し訳ないけど、彼はなかなかに重たくて。
半分ひきずるようにして隣へと運び込んで、そのまま転がすようにして寝かせた。
それでも起きないから、よほど深い眠りに入っているのだろう。
「ジュン、サンキュ。いやー、重たい！いい体してんだな。」
「体は細いですけど、筋肉質なんでしょうね。」
「マーカーくっつけてケロっとしてるなんて、なかなかに大物だよ。」
一頻りうんうんと頷いた後で、俺をつついて、
「ジュンとはタイプが違うから安心してていいぞ」
「は？」
え？急に何を？
「気にしてただろ？」
「え？何をですか？」
大野先生はくくくっと笑った。
「ははーん？さてはお前、二 股かけてたな。」
そういって、また笑う。
「・・・この エ ロ おやじ。」
カズもふふっと笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこにゃん(プロフ) - orangeさん» ご挨拶いただきありがとうございますm(_ _)mなんだかんだでずるずる長くなってしまってます。どうぞ最後までお付き合いくださいね♪ (2019年9月5日 0時) (
レス) id: 4b03694919 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - 後れ馳せながら独立シリーズ？化おめでとうございます(*^^*)なんだかんだ大切にされる愛されカズちゃんのお仕事や能力や過去とか気になってしまいますねo(*ﾟ∀ﾟ*)o (2019年9月4日 22時) (レス) id: ec0a1d16c2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこにゃん(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しくてたまりません。まだまだ暑さは続くようですので、orange さんもどうぞご自愛くださいね。コメントありがとうございましたm(_ _)m (2019年8月14日 0時) (レス) id: 4b03694919 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - こんにちは暑い中更新ありがとうございます！(^^)summerとても面白くて引き込まれてしまいます(*^^*) (2019年8月13日 21時) (レス) id: ec0a1d16c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ちずるさん» 毎日暑いですね〜。ちずるさんも暑さには気をつけてくださいね。若い二人。書いていてとても楽しかったです。コメントありがとうございました♪ (2019年8月2日 8時) (レス) id: d02d1a736e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちえさん＆ねこにゃん | 作成日時：2019年7月9日 15時
