summer2-17 ページ39
ジュンくんはカズさんに持っていた数珠を掛けようと近づいた。
するとカズさんは暴れだした。
「止めてっ‥！！」
急いで俺も加わって体を抑え込むと、ジュンくんが巻かれた包帯の上にそっと数珠をはめた。
カズさんの体がびくびくっと跳ねた。
「うっ・・・あっ・・・」
「カズさん、頑張って！」
俺はカズさんの体を抱きしめた。
俺のパワーを分けられたらいいのに。そう思いながらしっかりと抱きしめた。
ふうふうと息をしていたカズさん。暫くして、ようやくその体から力が抜けた。
俺は抱きしめていた体を離しベッドに寝かせた。
その体はまた燃えるように熱くなっていた。
「相葉くん、コレ。」
渡されたのはアイスノンと冷たいおしぼり。
額に乗せると眉間に寄っていたしわがちょっとだけ緩んだ。
「また熱出ちゃったね。」
「俺、大野先生に来てもらうよう連絡とるよ。悪いけどカズを見ててくれる？。」
「もちろん！お医者さんに来てもらった方がいいよね。」
ジュンくんが立ち上がった時、小さな声がした。
「・・まって・・・J・・」
”J”と呼ばれて振り返ったジュンくん。
「俺・・自分で・・行くよ」
「カズ・・・」
「あの人呼んだら..出張経費、無茶苦茶取られるんだ。」
体を起こそうともがくけれど起き上がれないカズさんの背中を抱くようにして支える。
数珠で赤くなった左手をじっと見つめる。
「あの時さ。アイツはしょーちゃんに全部消されたと思った。
だけど、手のひらにホンの少しだけ残ってた。
俺は一杯いっぱいだったけど・・・しょーちゃんなら気が付いてたと思う。」
「うん。」
「この5個の数珠をつけらるようになれば、俺が自分で何とかできると思ってたんだろうね。
体が治れば、体力がつけば・・・」
そう。ちゃんと食べて、元気になったら。
「アイツさ、ずりぃんだよ。やっと積み上げた俺の力を横から取って、ぶくぶく太っていくんだ。」
カズさんは手で顔を覆った。
「何なんだよ。アイツ特殊過ぎるよ。俺だって自分で何とかしたかった。
誰も頼りたくなかったし、こういう商売してるんだ、出来て当たり前だと思うんだけど・・・
もう限界。もう押えられない」
カズさんは小さく両手をあげた。
「まーくん。」
「はい。」
「ジュンくん。」
「うん。」
「センセのところまで連れてってください。お願いします。
・・・正直アイツを押さえとくのに精一杯でさ、歩く余裕もないのよ。」
カズさんはそう言って力なく笑った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 288人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねこにゃん(プロフ) - orangeさん» ご挨拶いただきありがとうございますm(_ _)mなんだかんだでずるずる長くなってしまってます。どうぞ最後までお付き合いくださいね♪ (2019年9月5日 0時) (
レス) id: 4b03694919 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - 後れ馳せながら独立シリーズ？化おめでとうございます(*^^*)なんだかんだ大切にされる愛されカズちゃんのお仕事や能力や過去とか気になってしまいますねo(*ﾟ∀ﾟ*)o (2019年9月4日 22時) (レス) id: ec0a1d16c2 (このIDを非表示/違反報告)
ねこにゃん(プロフ) - orangeさん» こちらこそ、読んでいただいてありがとうございます！面白いと言ってもらえて嬉しくてたまりません。まだまだ暑さは続くようですので、orange さんもどうぞご自愛くださいね。コメントありがとうございましたm(_ _)m (2019年8月14日 0時) (レス) id: 4b03694919 (このIDを非表示/違反報告)
orange(プロフ) - こんにちは暑い中更新ありがとうございます！(^^)summerとても面白くて引き込まれてしまいます(*^^*) (2019年8月13日 21時) (レス) id: ec0a1d16c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ちずるさん» 毎日暑いですね〜。ちずるさんも暑さには気をつけてくださいね。若い二人。書いていてとても楽しかったです。コメントありがとうございました♪ (2019年8月2日 8時) (レス) id: d02d1a736e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちえさん＆ねこにゃん | 作成日時：2019年7月9日 15時
