大倉くんと親友【緑】

新居 ページ45

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結局ベロベロになるまで飲んで帰った私は何も無い部屋でとうふを抱き抱えて寝た。


起きれば昼過ぎで、カーテンから射し込む光が眩しい。


｢ああ゛〜｣


グッと背伸びをすると、とうふをカゴに入れて部屋を出た。

鍵を閉めて玄関ポストに入れる。


愛車の後ろにとうふを乗せて運転席に乗り込んだ。


違反ギリギリのスピードで高速に乗って向かうのは新居、東京だ。


あーの｢東京来たら？｣の一言で即決した私の引越し先は、3年間貯めた給料のおかげでそこそこいい所に引っ越すことが出来た。



高速を乗り継いでヘトヘトになった頃にようやく下道へ道案内される。


久しぶりに見た東京の街に心を踊らせながら自分が住むことになる新しいマンションの駐車場に車を止めた。


エンジンを切ってキーを抜く。


後ろからとうふを出して鍵を閉めると、内玄関から出てきたマンションの住人は驚いたように私を見た。



そう、私の車はパパのお下がりで、二十五歳の女が乗るには少しイカつい黒のセダン。


口が空いたままのその人にペコりと頭を下げながらマンションに入った。


手探りでエレベーターを探し、12階のボタンを押す。


慣れない手つきで鍵穴を回せば引越し業者に丸投げした見慣れた家具が並んでいた。


リビングの中心に置かれたいつものソファに腰掛けてとうふをゲージから出す。


少し疲れた様子のとうふは、フラフラとソファに乗ると丸まって寝息をたて始めた。




明日のことも気にせずこんなにゆっくり出来る日は久しぶりで、グッと伸びをしながらファミコンを引っ張ってきてテレビに繋いだ。



ドラゴンクエストをリセットして一からクリアしていく。


私の人生もここでリセットか、と思うと少し笑えた。






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