大倉くんと親友【緑】

モデルと夏休み ページ27

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あれから家族と相談したあーは、事務所に連絡して、高校卒業を条件に少しずつ仕事を受け始めた。



雑誌にも載るようになって、周りの生徒は春の態度を嘘みたいに手のひら返しする。



擦り寄る生徒を蹴散らしながらズカズカと私に向かって来たあーは、私を抱き締めるとそのまま大きくため息をついた。




｢A、｣

｢ん？｣

｢あいつらだるい。｣

｢あいつらとか言わない！笑｣

｢もう一生友達Aだけでいい。｣

｢喋ってみたら案外いい人かもしれんよ？｣




私より幾分も背の高いあーの頭に手を伸ばして撫でる。


私のほっぺに頬ずりするあーは、人見知りの猫みたい。


そのままフシャーと周りを警戒しながら右手に私のカバンを、左手で私の手を引きながら教室を出た。


クラスのみんなは苦笑いしながら私に手を振る。



手を振り返してあーの方を向くと、あーは嬉しそうに笑いながら階段を駆け下りた。



今日から夏休みだ。






｢海行こ、｣

｢無理｣

｢浮き輪も持って行ってあげるし｣

｢無理｣

｢大丈夫。私おるやん｣

｢無理｣

｢じゃあプール｣

｢無理、｣





目の前で、A〜って駄々をこねるあーを見ながらクリームソーダを飲む。


あーはしょぼんとしながら自分のコーヒーフロートを掻き回した。




｢1回だけ｣

｢1回？｣

｢1回行ってくれたら虫取り付き合ってあげる｣

｢え、まじ？｣

｢まじ｣

｢朝5時集合やで｣

｢、うん。｣

｢分かった1回だけ！｣

｢やった〜！！！！｣




スポーツ好きで、私が行くバスケも甲子園もプロ野球もJリーグも付き合ってくれたあーが付き合ってくれなかった虫取りを引き合いに出されて思わずOKした。



昔、4人(実質2人)でやったセミ取りは、カブトムシ取りに進化して、朝5時集合。


あーは虫は嫌いじゃないけど早起きするのが嫌って言うから諦めてたのに嬉しくて、跳ね上がって喜んだ。


あーは苦笑しながらマスターにお金を払う。



｢水着買いに行こっか！｣

｢うん！！！｣








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