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ひーろー? ページ2











「何してんの?」


薄暗い公園に似つかわしくない凛と張ったきれいな声が轟く。


パッと胸ぐらから手を離されると腰に手を当てた俺と同じぐらいの背丈の女の子がこちらを見ていた。



「なんやAか」

「何してんのって聞いてんの!」


ゆっくり歩いてきた女の子は、力が抜けて座り込んだ俺の前にしゃがんで俺と目を合わせる。

ポケットから取り出したハンカチをぽんぽんと俺の目に優しく当てて、そのハンカチを俺に押し付けるとまた、先程の男子達の方を振り返った。



「自分ら!新しく来た転校生の子に初日から意地悪して恥ずかしくないん!!」

「それでも男の子なん!?
そんなんやから大好きな杉本さんにも嫌われんねんで!!」



杉本さん、誰やろ、

なんて思ってるうちに、男子の顔がみるみる真っ赤になって公園から逃げ出した。

ほかの取り巻きは慌てながら後を追って公園から消えた。


「大丈夫?痛くない?立てる?」

俺は頷いて、差し伸べられた手を取る。

ぎゅっと握って引っ張られると重かったお尻がふわっと浮いて、女の子と目が合った。


「、ありがとう!」

さっきの涙のせいで鼻声やけど、目を見て感謝の気持ちを伝える。


女の子に助けられて悔しいとか恥ずかしいとかそんなことは全く感じなくて、ただただ女の子がかっこよく見えた。


なんて言うか、ひーろー?って感じ。



「わたしAAって言うねん!
転校生の子やんな?名前は?」


「お、大倉忠義、」


名前を聞くと、うーんと眉間に皺を寄せてぶつぶつと何かを呟くAさん。

心配になって口を開きかける。

その瞬間パッと顔をあげてにっこり微笑んだ。


「じゃあ、[おくら]って呼ぶな!
わたしのことはAって呼んで!!」


そう言ってAは俺の手を引っ張って1つ隣の公園に走った。


繋がれた右手は暖かくて優しくて柔らかい。





カラスが鳴くから→←涙の表面張力



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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんやろ!!!IDでわかるんやからね!私も好き!!! (2018年12月17日 8時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - すき!! (2018年12月8日 20時) (レス) id: dd33592cf0 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» 住野よるさんの作品素敵ですよね!嬉しいお言葉ありがとうございます!頑張ります!! (2018年8月29日 16時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - そうです!!!住野よるさん私も大好きです!!!これからもじょび様の作品楽しみにしております(^^) (2018年8月28日 22時) (レス) id: d221d00b99 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん!コメントありがとうございます!住野よるさんの文学作品のことでしょうか、、、それならとっても嬉しいです!あの作品、とっても大好きで何回も読み返したのを思い出します(> <)意識はしてなかったのですがとっても嬉しいです! (2018年8月28日 22時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じょび | 作成日時:2018年4月8日 1時

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