事務局恋愛 (ページ5)

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「今日な？
　後から来るから
　新しい事務局長」

「初顔合わせ
　いうこと？」

「いや、ゆずる
　いつも会うてるやん
　聞いてない？信二に」

「は？水田に？俺が？」

秋山さんとゆずるが
話してるけど
どうも話が
かみ合ってないっぽい

元々他の病院で一緒だった
水田くんとゆずる
そんでもって
新しい事務局長も
同じとこで一緒だったらしい

しかも文くんとは
地元が一緒だったらしい

「え？うそやん
　聞いてへんもん、俺
　こないだも
　うちで会うて飲んだし」

「あー、それやけど
　一応向こうの病院から
　引き抜いたみたい
　なったからなぁ
　本人なりに
　あんまり言わへんように
　配慮したんちゃう？」

「へぇ、知らんかったぁ
　なんで言わへんねん
　びっくりするやん」

ともこも私も
あんまり話が見えなくて
お互い目があって
首をかしげてる

とりあえずみんなの
知り合いみたいだし
悪い人ではなさそうってことで
ちょっと安心

なんせかんせ
これから私が行く
「事務局室」ってのが
本当にちょっと特殊だからだ

元々はたくさんいた事務局
介護に力を入れた
うちの病院は
他の箱ものを建てたもんで
病院自体の規模が
かなり小さくなった

それと同時に
他の箱ものの事務は
そこそこに
事務員を置いたもんで
病院自体の事務は
事務局長と事務員の
なんと２人

結構な広い応接間みたいなとこに
２つだけ
机を置いて仕事するのだ

今までの事務員さんが
大ベテランのおばさんで
だからこそ２人で
腐ってもこの規模の
病院の事務を
なんとかまわせてたんだけど

新しい事務局長と
新しい事務員の私
２人でなんとかできんのかいな

「あの～」

いろいろ頭の中で
ガチャガチャ考えていると
普段患者さんが
開けることのない
薬局側のドアが開いて

見慣れないスーツ姿の男性が
ひょこっと顔を出した

「賢ちゃんやん！！！」

うわ～！
ほんまやったんや！
秋山さんから
今聞いたとこやってん！！

ゆずるがわぁっと
駆け寄って行って
賢ちゃんと言われた
その男性が
こないだゆずるに
言われへんかったん
悪いなぁ思うててんと
かわいく片目をつぶってる