8人目の彼女は性別迷子∞yellow① (ページ11)

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「とりあえず飯食お」

『あ、わたし作るで』

せっせとご飯を作ってくれてるAを横目に見て、これが日常になったら最高やのになぁなんて思う俺。
そうするためには自分が動かなあかんのは分かってんねんけど……

“ なぁ、亮ちゃん知ってる？恋愛の牽制球は『相手に判断をさせる行動、言動をとる』ことやねんて！ ”

フと丸がこないだそう言ってたのを思い出す。
最近読んでる本の一文らしい。

「牽制球…か」

『え？なんか言うた？』

Aはスープをよそいながらくりくりした目で俺を見てる。

「危ないで！こっち見んと手元見て？」

『そうね！はい、これ運んでー』

そう言って俺にスープを託し、作ったものをボール皿に盛り付けて『っし、できた！簡単ロコモコ丼！』って言いながら机に運んでるA。

俺はスープ置いたあとビールを持って、Aに渡す。

『ありがと』

席に着き、2人でいただきますして、食べ始める。
うまいなぁとか言いながら。

牽制球…牽制球…
あ、そうや。

「……あのさ、朝Aが俺に聞いたやん？ちゃんと付き合ったことあるかって」

『うん？聞いたね』

「ほんまはさ、俺ずっと前から好きな人おんねんか」

サラッと言ってみると、案の定めっちゃ食いつくA。

『え！？そうなん？ずっと？？！』

「もう何年どころか、二桁いくわ、そいつへの想い」

驚きつつもAはなんとなく寂しそうな顔を見せて

『めっちゃ一途やなぁ…。そんな一途やのになんで亮ちゃんは、好きやない他の人と付き合うん？』

Aならそう返してくると思ってた。
混じりっけのない目で俺をみる。
いろんな意味でドキドキしながら俺は本音を口に出した。

「…怖いねん」

『怖い？』

「俺にとって “ 1番近い存在 ” すぎて。告白してあかんかったときのこと考えると怖い。やから、いっそのこと違う人好きになれば…って思って付き合っちゃうねん。ほんで、結局やっぱあいつのことが好きすぎて別れる……その繰り返し」

『そう…なんや…』

戸惑ってる表情を見せるA。
これは…気付いたか？