検索窓
今日:2 hit、昨日:10 hit、合計:73,329 hit

_55 ページ7

−Eichi Side−


「……凛月先輩、引きずられて行っちゃいましたね?」


「ふふ、そうだねぇ……」


淹れたばかりの紅茶を、ひとくち。
フルーティーな香りが、味わいが、口いっぱいに広がる。


本当に、凛月くんは単に寝に来ただけのようだった。

元々活動内容なんて明快なものは、この部活には存在しないけれど……。
故に、先程のような凛月くんの様子も“いつも通り”だ。



それはそうと。

もし僕がレッスンに来ないようであれば、今みたいにAちゃんが迎えに来てくれたりするのかなぁ……?

あんまり信頼度に欠けるようなことはしたくないけれど、今度実践してみたい。
仮にもお試しの気持ちで……1回だけなら、そう簡単に落ちたりはしないだろう。


そんなことを企んでいたら、目の前の創くんが僕を呼んでいたことにやっと気付く。

……あぁ、ぼんやりしてはいけないね。いつでも堂々としていなければ。


気を引き締めたとき、同時に創くんが冗談混じりにこんなことを言ってきた。


「会長さんが上の空なの、ちょっと珍しいですね?

そんな様子だと、副会長さんがきたりして……」


「えぇ? そんな、今にでも実現しそうなことを言わないでおくれよ」


分からないですよ? と悪戯に笑う彼を見て、こちらもつられて笑みを零す。
創くんも、言うようになったねぇ。


__そんな風に、呑気に笑いあっていたら。




「英智」




突如聞き慣れた声に、小さな悲鳴が漏れる。流石の僕も驚いて、丁度手にしていたカップを落としてしまいそうになった。

おそるおそる顔を上げれば、案の定そこには腕を組み、仁王立ちで怒気のオーラを纏う、僕の幼馴染み……敬人がいた。


「敬人ってば、心臓止まるかと思ったよ……」


やはり創くんも予想外だったらしく、顔を真っ青にさせていた。
もちろん僕も、本当に敬人が来るとは思ってもいなくて、自然に自身の声が震える。



「……それで、何かあったのかい?」


コホンと咳払いをして、気持ちを切り替える。

今回は、敬人に呼び出されたりはしていないし……それに、敬人なりに僕の体調を気遣ってくれているのか、仕事もさせてくれない。

だから、実際怒られるような要素はない気がする。

.

_56→←_54



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (114 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
335人がお気に入り
設定タグ:あんスタ , 天祥院英智
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

綺月(プロフ) - やっばいですキュンキュンしすぎて死にそうです (2021年10月24日 22時) (レス) @page44 id: 4b09ec865e (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:紫水 | 作成日時:2020年7月26日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。