貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ43)

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－Eichi Side－

どうしようもない気持ちに、少しばかりため息がこぼれる。

それはもちろん、良い意味でのものだけれど。

橙色に染まる海を見て、きらきらと瞳を輝かせたり。

南国の海も一緒に見たい、なんて百点満点な笑顔で言ってくれたり。

そんな姿を見て、漠然とかわいいな～なんて思っていれば完全に油断していた。

自身よりひとまわり小さくて、女の子らしい柔らかい手。

一体どっちのものなのか分からないほど、熱がこもって熱い。

嬉しさはもちろんのこと、何となく恥ずかしくて今にも溶けそうだった。

……格好つかないし、情けない。

色んな感情でごちゃまぜになっているのを、早くどうにかしたくて。

波の音に包まれているのもロマンチックだけれど、今の僕はそれどころでは無かった。

こうして容易に振り向いてしまったこと、僕は少しだけ後悔することになる。

瞼を伏せつつ、繋いでいない反対の手は体温を感じるように頬に添えられ。

その頬は恥じらいの色に染まっている。

……何だか、『イケナイモノ』を見てしまったような。

『…ちょっ、あんまりじろじろ見ないでっ』

少し罪悪感を感じていたら、視線に気付いたらしいAちゃん。

頬にあった手は自身の赤く染まった顔を隠すように、こちらに手のひらを向けている。

見ないで、なんて今更だ。

「隠さなくてもいいのに。かわいいんだからよく見せて」

『っかわ……！？』

彼女の頬に手を伸ばし、するりと撫でる。

元々熱いそれは、みるみると更に温度を上げていった。

『ど、どっちの手も離れない……』

やめてほしさに繋いだ手を解こうとしたり、空いた手で僕の手を掴んで、どうにかしようと試みたAちゃん。

けれどそれはどちらも不可能。
まあ、わざと力を入れているから当然なのだけれど。

「ふふ、本当に君は可愛いね」

『……そう言ってくれるのは嬉しいけど、でも』

「恥ずかしいからやめてって？僕には到底無理だろうねぇ」

そう言いつつ、今度は撫でるのはやめて頬をつまんでみる。
すると彼女は、眉をひそめて不機嫌な顔になってしまった。

『無理って、なんで……』

首を傾げてみせるAちゃん。

本当のことを言おうかは迷ったけれど、今のところは内緒にしておこうかな。

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