貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ27)

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－You Side－

「悪いな、手伝ってもらって」

『いいよこのくらい。
敬人にはたくさん助けてもらってるし、その分お返ししないと』

「貴様に借りを作っているつもりはないがな。

……だが、人から貰った恩を返そうとすることは良い心がけだ」

“よし、よし……♪” とわざわざ重たい書類を片手に、何も持っていない方の手で私の頭を撫でる敬人。

撫でられるなんて久しぶりすぎて少々くすぐったいけれど、彼がご機嫌なのは大変喜ばしいことなので良しとしよう。

けど、その山を片手で持てるのならば、今私の手で抱えている書類も持てるのではないだろうか。

＿＿＿＿

「じゃあ、僕は行くね！」

『…………？』

なんだか、向こうが騒がしい。

ハツラツとしていて妙に聞き覚えのある声だけれど、例のお客さんだろうか。

過剰に気になり、丁度あった曲がり角からひょっこりと顔を覗かせてみる。
背後から「何をしているんだ」と敬人の声が聞こえるけども気にしない。

……あれ、英智くん。

どうしているんだとは言いたいところだけど、それは生徒会室前なのだから可笑しくもなんともない。

というか、英智くんの目の前にいたヤツ……。
まさかとは思うけど、あの声。あの髪！！

「死んだ目をしているが大丈夫か」

『そんなの当たり前だよね……』

無理。切実に会いたくない。

あんなのと鉢合わせしてしまえば飛びつかれるに決まってる。

『ごめん。ここから先は自分で持ってってほしいです』

「何を馬鹿なことを言ってるんだ。ここまで持ってきておいてそれは無いだろう」

『っちょ、おさな＿＿』

まさかの逆効果。
背中を敬人にぐいぐいと押されて、案の定バランスを崩してしまう。

咄嗟に敬人のシャツの裾を掴んでしまったのがダメだったのか、ぱちりと目を開くと自分は床に四つん這いで、その上に敬人が馬乗りになるような姿勢になっていた。

はたから見たら、結構危ない体勢になっていたと思う。

「わっ！びっくりしちゃったね～！

……もしかして、例の女の子？」

ラッキーなことにも、気付かれてないみたい？
適当に誤魔化して、さっさと立ち去ればいけるかも。

けれど、そんな希望も一瞬にして打ち砕かれてしまった。

「大丈夫かい？ Aちゃん……」

控えめに顔を上げると、耳に入ってきたのは心配するような彼の声。

ありがた迷惑なことにも、“あの言葉”まで。

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