貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ19)

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－Keito Side－

「おい、英智」

「……なんだ、敬人か。おはよう。
“おい” じゃなくて、人に会った時はまず挨拶でしょ？」

「……おはよう。貴様も人のこと言えんがな」

夏休みに入る前日。
俺は朝から、登校中コイツと遭遇する為に普段より少し遅く家を出た。

「英智、昨日のことなんだが」

「昨日？」

昨日の放課後。生徒会の仕事が残っているのにも関わらず、変に元気がないアイツを放っておくことが出来ずに、気分転換も兼ねて一緒にあんみつを食べに行った。

……こういうのは俺の役目ではなく、本当は英智がやるべきことなんだがな。

元気がなかった訳は、あんみつの奢りと引き換えに話させたのだが……。
実際、英智が関わっていたことが判明して。

「fineのレッスン中、Aがネクタイではなくリボンをしていたのだろう？」

「……あぁ、そうだね。というか、どうして敬人が知ってるの？」

いつもみたいに悶え叫ぶのかと思いきや、あまりにも薄い反応。
ひょっとして、もう既に自覚しているのか……？

「本人から聞いた。……で、それを見てどう思った？」

「恐らくあれが “ギャップ萌え” というやつなんだね……。
控えめに言って、直視できないくらい可愛かった」

うん、と至って真剣な表情で頷く英智。
……思考回路は通常運転だったようだな。

「直視できないくらい可愛かったくせに、本人には何も言わなかったそうじゃないか」

「敬人ってばどこまで知ってるの……。

それ、渉にも言われたんだよね。
“もし言っていれば、何かが変わるかもしれなかったのに” って」

敬人もそのことを伝えに来たんだよね？と困ったような顔をする英智。

……Aには、何もしなくていいと言われたけれど。

「＿＿アイツは、英智が何か言ってくれるのを待っていたんだぞ！？」

「っえ、」

「……？あ、しまった」

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