貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ17)

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－You Side－

『じゃあ、私鍵返しに行ってくるから……』

「あの、日々樹先輩……A先輩結構落ち込んでません？」

「フフフ。案外傷つきやすいし脆いですからね、あの人☆」

＿＿＿

落ち込んでないかと言われれば、嘘になるけれど。

というか、一先ず恋人じゃないんだし。期待しすぎたって仕方なかった。

それに、英智くんだって “気付いてた” だけで感想を口にしなかっただけかもしれないんだから。そもそも言う必要だって無い。

＿＿言い訳だけ並べる自分が、惨めで情けない。

「……む、Aか」

『……けいと』

俯きがちだったせいで、反対方向から人が来ていることに気付かなかった私。
声がして顔を上げると、そこにはいつもながらに威圧を放つ敬人がいた。

「fineのプロデュースは終わったのか？」

『…うん。今レッスン室の鍵返しに行くとこ』

「そうか。
……って、ネクタイが緩んでるじゃないか。
直してやるから、もう少し近う寄れ」

お決まりの台詞を吐きながらも、軽く手招きをする敬人。

レッスンが終わった後は、とてもと言っていいほど落ち込んでいたから……。
いつもはきちっと結んでいるネクタイも、適当で雑に結ばれていたようで。

ネクタイくらい、自分で直せるのに。
そう思いもしたけれど、今はとやかく言う気力も無く、言われるがまま1歩踏み出した。

すると、従順に動いてくれたことがそんなに嬉しかったのか、満足気に微笑みつつネクタイに手を掛ける敬人。
きゅきゅっと、首元が絞められていく感覚がする。苦しいわけじゃなく、適度な強さで。

「……よし、完成したぞ」

どうだ、と更にはドヤ顔をされる次第。そんなに嬉しそうな顔をしてくれるなら、こっちも結ばれがい(？)があったってものだよ。

私が結ぶより仕上がりが綺麗に見えるのは、少し気にくわないけれど。

『綺麗だね、流石』
「ふん。当然だ」

あまり褒められ慣れてないのか、腕を組みメガネのブリッジを上げる彼。
その仕草で、余計に恥ずかしがってるって分かるんだけどね。

「……というか、元気がないな。何かあったのか？」

『あれ、敬人にもそう見えちゃうんだ』

そう言うなり、は？と怪訝そうな顔をされる。
敬人にまで気付かれるとか、どんだけ鬱オーラ醸し出してるんだろうか、私は。

「……あんみつ」

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