*79 剥がれた ページ32
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『ねぇ、なんで?私、今使ってる携帯の電話番号慎也くんに教えてないよね?』
慎也「あー………ほら、この前さ、夜会った時に番号見てたんだよ」
ぐらり…と慎也くんの瞳が揺らいだのを見逃さない。
1つ疑問を見つければ、今まで気にしなかった不可解なことがだんだん浮かんでくる。
『あの夜だって、慎也くんコンビニで私を見かけたって言ってたけど、私がタクシーを降りた場所……走り出した場所はコンビニなんかとっくに通り過ぎてた』
慎也「いや、それは……」
『そもそも、雨の日に会った時に慎也くんは私の家と反対方向に帰って行ったのに………なんで私の家方面のコンビニにいたの?』
慎也「……その日はたまたまそっちに用事があって」
『深夜23時に?ていうかこれ………さっきの慎也くんがかけてくれた着信……非通知表示なんだけど』
慎也「……」
とうとう黙り出した慎也くんを見て、背中に嫌な汗が流れるのがわかる。
もしかして……………
『私に非通知でずっと電話かけてたのって………慎也くんなの………?』
慎也「……」
震える唇で、確信をつくために質問する。
すると、長く黙っていた慎也くんが大きくため息をついた。
慎也「そうだけど。だから?」
被ってた皮が、剥がれた。
ゾワァッ…!と鳥肌が立ち、思わずバックを持って席を立つと、それを阻止するかのように腕を掴まれた。
『は、離して……!』
慎也「いいの?ここで騒いだら、世間様に有名なAにとっては大ダメージなんじゃない?」
その言葉にハッとして辺りを見回すと、店内のお客さんや店員さんが不思議そうな目で私たちを見てる。
ただでさえお忍びで来てるのに、ここで騒がれたら盛りに盛った話を書かれるかもしれない。
慎也「俺はただ、Aと話したいだけ。痛いこととかしないから………抵抗しなければ」
『ッ……外、出たい』
慎也「散歩デート?いいよ」
ニコッと笑う慎也くんだけど、もう前の爽やかさを感じる笑顔では無くて………
逃げないように掴まれた右手が痛い。
よりによって利き手の方を掴まれるなんて………
『……』
お会計を素早く済ませた慎也くんに右手を掴まれたまま引っ張られ、黙って大人しくついて行く。
ポケットに咄嗟に隠したスマホをバレないように、
一か八かで左手で操作する。
見えないし上手く送れてるか自信ないけど………
お願い、誰かに届いて………!
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晴(プロフ) - 井戸さん» 同棲編はほんとに制限ギリギリまで責めようと思ってます(笑) よろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 武田さん» お金は江口くん本人へ!!!(笑) ありがとうございます!!続編もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 陽愛さん» こちらこそありがとうございますです!!!続編の方もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - 同棲編キタァァーー!!!ありがとうございます!! (2020年4月21日 10時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
武田(プロフ) - ウワーーーーーッ!!!!!続編!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!もう!どこに金払えばいいんですか!!!!!有難うございます!!!!! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 784988d0c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2020年3月29日 23時