やめてください江口さん。 2

＊51 島田さん ページ4

*江口side


・



木村「えぐーちょっと来て」



新しく始まるアニメのキャストとして選考された声優陣の顔合わせの日。


お世話になってる良平さんに呼ばれ、声のした方へ寄っていくと、良平さんの隣に可愛らしい女性が1人立っている。



木村「うちの事務所の後輩。今回初の大役で緊張してるから、仲良くしてやって」

『島田Aです。よろしくお願いします』


ぺこりと頭を下げたあと、顔を上げてニコッと微笑む彼女。



俺の彼女への第一印象は、




めちゃくちゃ可愛い。


正直どタイプ。





江口「……あっ、81プロデュース所属の江口拓也です。こちらこそよろしくお願いします」


木村「えぐぅお前先輩のくせになんでそんなに腰低いんだよ」


江口「いや、初めましてですし…」


『…あっ、良平さん、向こうで先輩が呼んでますよ』


木村「あ、ほんとだ。ちょっと挨拶してくるわ」



“お久しぶりですー！”と大先輩の方へ駆け寄っていく良平さんを見送り、島田さんと2人きりになる。



うわ、なに話そう…………




江口「あー…………島田さんって良平さんと仲良いんだね」


『そうですね、子役の時からお世話になってて……お兄ちゃんみたいな存在です。江口さんのお話もよく聞いてます』


江口「えっ、良平さん俺の話とかするの？」


『しますよ。この前だって一緒に呑みに行った時に……』



話し始める島田さんを見るのに夢中で、話の内容が全く頭に入ってこない。



話しながら横髪を耳にかける仕草とか、



瞬きの度に揺れる長いまつ毛とか、




ひとつひとつに目が行ってしまう。




見た目はとても可愛らしいのに、声はそこまで萌え声じゃなくて、どっちかと言うと大人っぽい落ち着いた声。




うわぁ………ギャップだ……




なんて話の内容そっちのけで1人で盛り上がってる。




島田さんにはとても失礼だけど、



しょうがないよね。




だってめちゃくちゃ可愛いんだもん。




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