*74 怖い ページ27
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「お客さん、本当にここまででいいんですか?」
『はい、ありがとうございました』
仕事も終わって夜23時。
タクシーの運転手さんに夜中だからと心配されたけど、夜風に当たりたかったから途中で下りて歩くことにした。
壮馬にしつこく「今日はタクシーで帰れ」って言われたけど、ちょっと歩くくらいなら大丈夫だよね。
梅ちゃんといい壮馬といい、心配性だよなぁ……
まぁ、そこまで大事にしてくれてるってことか。
『………会いたいなぁ』
ポツリ、無意識のうちに本音が零れる。
最近、お互い忙しくて江口さんと2人でゆっくり過ごせてない。
この前仕事場でされたキス(一瞬だけど)が最後だ。
良平さんの「甘える」作戦も全然できてないし……
あぁぁ、1度会いたいと思ったらどんどん会いたくなってきた……
『…だめだめ、ダメだぞA』
江口さんだって忙しいんだから、
ここは我慢……我慢だ……
………ていうか、なんかさっきから……
『……』
人の視線を感じる………っていうか、
つけられてる………?
『っ……』
怖くなって早足に……そして気づいたら走っていた。
怖い。
まだついてきてる?
だめ……後ろ振り返れない……っ
『はぁっ、はぁ……』
自宅のマンションの明かりが見えてきて、ようやく足を止めて息を整える。
はぁぁぁー…………心臓に悪い…
とりあえず一息ついてエントランスに入ろうとした瞬間、スマホの着信音が鳴り出した。
ビクッと肩が跳ね上がり、スマホを取り出して画面を確認する。
………また、非通知。
ゴクッ……と唾を飲み込んで、心を決めて通話ボタンをタップする。
『っ………も、もしもし?』
「……」
前と同様、向こうからは何も聞こえてこない。
もう切ってしまえ、と思って耳元から離そうとした途端、
「……走るの速いんだね」
『ッ……!!』
加工された低い声が響き、思わずスマホを手放す。
ゾゾゾッ…と背筋が震えて、スマホに手を伸ばすことができない。
怖い。
怖い。
震えが止まらずにいると、後ろから肩をポン、と叩かれ思わずその手を引っぱたいてしまった。
『きゃあっ!!』
「うわっ!?」
『……えっ?し、慎也くん……』
慎也「ビックリしたぁー、コンビニ寄ってたら必死に走っていくA見かけたからさ、どうしたんだろうって気になって」
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晴(プロフ) - 井戸さん» 同棲編はほんとに制限ギリギリまで責めようと思ってます(笑) よろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 武田さん» お金は江口くん本人へ!!!(笑) ありがとうございます!!続編もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
晴(プロフ) - 陽愛さん» こちらこそありがとうございますです!!!続編の方もよろしくお願いします!! (2020年4月22日 18時) (レス) id: 7dca284c0c (このIDを非表示/違反報告)
井戸 - 同棲編キタァァーー!!!ありがとうございます!! (2020年4月21日 10時) (レス) id: 1e21205b19 (このIDを非表示/違反報告)
武田(プロフ) - ウワーーーーーッ!!!!!続編!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!ウワーーーーーッ!!!!!もう!どこに金払えばいいんですか!!!!!有難うございます!!!!! (2020年4月21日 1時) (レス) id: 784988d0c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はる | 作成日時:2020年3月29日 23時