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夕飯も食べ終わり、いよいよ映画の時間。
リビングを暗くしてソファーに並んで座る。
前のローテーブルに飲み物を置けば
映画館にも似た空間が出来上がった。
右隣の廉は足を組んで放送を楽しみにしている。
数分後、遂に映画が始まった。
何度も遠回りして両想いになるお話の映画で
手を繋ぐシーンやキスシーンには照れてしまったが
そんな私を見て、ふふっと笑う廉はやはり大人で、
ラストのシーンで鼻を啜る私に
近くにあったティッシュを渡してくれた。
「 これ当時観とったら告ってたかもなあ 」
数時間の映画鑑賞の後、伸びをしながら口にする廉。
「 脈ありだったってこと？ 」
「 まあまあ 」
「 その子には告らないで終わっちゃったのか 」
「 そー。俺の儚い思い出の映画よ。観れてよかった 」
飲み物を飲んで立ち上がると主題歌のサビを鼻唄で
歌いながらリビングの電気をつけた。
眩しさに慣れない目で廉を見ると
同じように私を見ていた彼は「 寝よ 」と呟いた。
その言葉で立ち上がってコンタクトを外し歯を磨く。
いざ自分の部屋に行こうとスマホを持った時、
輪郭が曖昧になった廉が「 それ俺の 」と
手元のスマホを奪って首を傾げた。
「 コンタクト外した？ 」
「 うん。スマホの区別もできないくらい見えない 」
「 困ったちゃんやなあ。Aのはそっち。
ティッシュの隣にあるやつ 」
「 あー、これね。ありがとう 」
腕を伸ばして廉に取ってもらったスマホを持って
リビングを出ようと歩き出した。
「 暗くしたら見えへんのやろ 」
腕を掴んで私の動きを止めた廉に引き寄せられる。
グッと近くになった距離に映画の余韻もあって
異常に心拍数が高くなっていくのが分かった。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月27日 17時
