私のキョウダイ2 (ページ18)

今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:82,870 hit

15 ページ18

.

久しぶりに海人の隣を並んで歩けば

＂あの二人復縁したの？＂

＂廉くんと付き合ってたんじゃないの？＂

そんな声が聞こえてくる。

「気にすることないよ」

何も気にせず前を向いて堂々と歩く海人の言葉。

「 Aは俺のなんだから」

昇降口で偶然居合わせた海人と一緒に教室に入る。

クラスメイトも私達を見て驚いていた。

既に登校していた廉は気にする素振りも見せずに

自分の席でスマホを見ていた。

扉を開けてすぐの席の海人と一旦別れて

廉の隣の席へ向かう。

「鍵置いていかなかったでしょ」

周りには聞こえない大きさの声で話しかけると

スマホから私に視線を移して「忘れてた」と

表情を曇らせる。

「鍵閉めてこなかったん？」

「裏口から出てきた」

「あかんやん！ダッシュで帰る！」

せっかく小声で話していたのに驚いた反動で

うっかりボリュームを上げてしまう廉。

周りを見ると近くの女子達が不思議そうに見ていた。

遠く離れた海人も「どしたあ？」と声を出す。

最近廉とずっと距離を置いたままの海人ですら

気になっているみたい。

必死に「何でもない！」と誤魔化してみた。

「やっぱスペア作らなあかんやん。

前言うたよなあ、ひとつは不便やって」

海人の声を無視して小声で話し続ける廉。

「それでも何とかやってこれたじゃん。

明日から同じタイミングで出ようよ」

「 A遅いから嫌。鏡の前占領しすぎやし」

「鏡の話は今関係ないでしょ？

廉がもう少しだけ待ってくれればいいことなの」

「女子のもう少しって全然ちゃうやん」

「あーもう分かったよ。スペア作ればいいんでしょ」

横にかけたリュックからノートを取り出す私に

廉は机にだらしなく腕を伸ばして「勝った」と

悪戯に笑った。

イラッとしたからそのノートで軽く叩いてやった。

.