私のキョウダイ2 (ページ13)

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「じゃ、行ってくる」

玄関先に立つ廉の表情は緊張と楽しみが混ざっている。

無事に会うことが決まって

ここからそう離れていない場所で待ち合わせをするらしい。

家を出て歩いて行く廉を見送ると一気に静かになる空間。

置き去りにされていたコントローラーは

所定の位置にきちんと戻されていて

部屋に残る廉の香水が何だか寂しい。

残していたココアはすっかり温くなって

美味しさの格がひとつ下がったようにも思えた。

ずっと家にいてもすることがなかったので

私も外の空気を吸ってみることにした。

向かったのは廉と一緒に来た海岸。

今日はリベンジに相応しい青空が広がっていて

寒いのにこの前よりも観光客が多く見受けられた。

冬の海から流れてくる潮風は本当に冷たい。

廉と並んで座ったコンクリートの階段に腰を下ろすと

布地を伝って自然の冷たさを肌で感じることができた。

「 …A？」

遠い地平線の先にいる両親のことを考えていたら

突然背後から名前を呼ばれた。

びっくりして立ち上がった私は階段を踏み外しそうになる。

よろめいた身体を支えてくれたのは

「 …海人」

前髪を潮風でなびかせて心配そうに私を見る海人だった。

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