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彼女の手には薄紫色に包まれた便箋が。別れが近づいていることを実感し、なんだか寂しい、などという人間臭い感情が湧き上がる。
『兄さん、今日中原幹部がいらっしゃったのです。帰らなければならないと。』
太宰は違和感に納得した。道理で違う、苦手な香りがすると。
『兄さん、お世話になりました。もうすぐ中原さんがいらっしゃる頃です。行かねばなりません。此れは私が居なくなった後読んでくださいね、』
面と面を向かい合わせて読まれるのはなんだかこそばゆいので、と頰を赤らめ下を向きながらAは云った。
太宰は溢れ返りそうな何かの正体が分からなかった。其れが今必要なものなのか、それすらも分からなかった。
今迄夢にも見たこの風景はたったの3日で崩れ去ってしまうものだったのか、そう考えるともう生きる意味が消失したような気がする。
………彼のいる彼方の世界へと向かおうか。
太宰は貰った便箋に力を込める。
その瞬間、ふわりとした感触が太宰の体を暖かく包み込む、昔に実感した事のある…暖かいもの。
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時雨(プロフ) - ネムさん» そう言っていただけてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!!!!!!!!!このコメントで私もニコニコしちゃいました。嬉しさいっぱいです、こんなに長いのに読了してくださりありがとうございました! (8月6日 2時) (レス) id: b6f643f10a (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - あぁもう…だめだ。なんか言葉に詰まってしまいます。完結ありがとうございます。最高でした。 (8月1日 1時) (レス) @page41 id: 41eadc19f5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ピポポタマスさん» 遅くなって御免なさい。本作中にとても書けず、おまけという形で書かせて頂きました。甘くねぇな…コーヒーシュガーにもなりきれてません…本当にすいません。書き直しならいつでも致します。(双黒なのに太宰さんしか使っていない…ああああ!!) (2018年3月7日 22時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きなこもちさん» 有難うございます!満足頂けましたか?とてもの三連続…w次回の作品もいずれ書きますのでその時はよろしくお願いします! (2018年3月4日 19時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 完結おめでとうございます!とてもとてもとても面白かった…!お疲れ様でした(*´∀`*) (2018年3月4日 19時) (レス) id: 48ae29e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 12時