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二人とも風呂から上がり清々しい気持ちで眠りを待っていた。
背中合わせで蒲団に入り、特に言葉も無いまま時間だけが過ぎていった。
太宰には話したい事が山ほどあった。同時に彼女にも山ほどあった。
だが、お互いに上手く言葉にすることが出来ない。
無言の時間が積み重なってゆく。
「『あ…』」
「そっちから良いよ。」
『いえいえ、ご遠慮なさらずお先に。』
「『………』」
先程からこれの繰り返しである。
『じゃ、じゃあ云いますね。…明日私居なくなっちゃいますけど、その時は。』
Aの心臓が段々と速くなっているのが背中越しの彼にも伝わった。
そして瞬時躊躇いつつ、一呼吸だけ置いて言葉を続けた。
『その時は、少し、少しだけ、寂しく思って下さい、少しだけでいいです。』
少しだけ、この部分を無駄に強調して云った。
彼女なりの本心の打ち開け方なのだろう。
カーテンの隙間から差し込む月明かりは彼女の目から出る液体をキラリと照らした。
右手で拭い取り、蒲団を被った。
泣き顔なんて、
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時雨(プロフ) - ネムさん» そう言っていただけてめっちゃめちゃ嬉しいです!!!!!!!!!!!このコメントで私もニコニコしちゃいました。嬉しさいっぱいです、こんなに長いのに読了してくださりありがとうございました! (8月6日 2時) (レス) id: b6f643f10a (このIDを非表示/違反報告)
ネム(プロフ) - あぁもう…だめだ。なんか言葉に詰まってしまいます。完結ありがとうございます。最高でした。 (8月1日 1時) (レス) @page41 id: 41eadc19f5 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - ピポポタマスさん» 遅くなって御免なさい。本作中にとても書けず、おまけという形で書かせて頂きました。甘くねぇな…コーヒーシュガーにもなりきれてません…本当にすいません。書き直しならいつでも致します。(双黒なのに太宰さんしか使っていない…ああああ!!) (2018年3月7日 22時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
時雨(プロフ) - きなこもちさん» 有難うございます!満足頂けましたか?とてもの三連続…w次回の作品もいずれ書きますのでその時はよろしくお願いします! (2018年3月4日 19時) (レス) id: 23b0d452e1 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち(プロフ) - 完結おめでとうございます!とてもとてもとても面白かった…!お疲れ様でした(*´∀`*) (2018年3月4日 19時) (レス) id: 48ae29e69a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:時雨 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年2月14日 12時