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第27話 ページ27

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夏が過ぎて、木枯らし色の季節が訪れようとしていた。



少しだけ白くなった肌を襟元から覗かせた越前がAに駆け寄った。

Aもそれを受け入れるように越前の方に体を向けた。



「A先輩、久しぶり」



越前に以前のような憔悴しきった雰囲気は見られなかった。

煌びやかな未来を見据えた瞳にAが映った。Aの手に収まるタオルの存在に気がついたのか、越前はタオルとAの顔を交互に見た。


「あれ、俺持って帰らなかった?」

「私が預かってたの。流石に下に敷いたものだったし」



そっか、とどこか納得しない様子の越前と、タオルを握りしめるA。

状況が読み込めない堀尾は目を白黒させていた。



「リョーマくん」


鈴の音のような声が聞こえた。

図書室で会った以来の彼女はいつ見ても守りたくなるような可憐さを秘めていた。Aの存在に気付いた桜乃は桜が咲くように顔を明るくした。



「あっ…この間はありがとうございました!」


頬を赤く染めながらAを見上げた桜乃に越前は首を傾げた。

越前が口を開こうとした時、Aがそれを阻んだ。




「図書室で迷ってたこの子を助けたの。そこから知り合い」

ね、とAは同意を求めるように桜乃に視線を移して微笑めば、桜乃は勢いよく頷いた。

納得したのか、納得していないのか。越前は「ふうん」と短く呟くとAに1歩近寄ってAを見つめた。右手にいる堀尾からの視線が痛かった。



「はい、タオル」

「ありがと」


きっと求めていたのはこれではないと、Aには分かっていた。
分からないほど子供ではないし、知らないフリができるほど大人でもなかった。Aは笑った。


「こちらこそ」


それじゃ、と言って踵を返そうとしたAの腕にに触れようとした越前の手を避けた。



悪いことをした、そう自覚はしながらもAは振り返らずに真っ直ぐ歩き出した。




悪いことをしたのはどっちだ。








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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます‪‪❤︎‬ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました!あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました! (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ!失恋組!初遭遇です!やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます!ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ!』私も失恋した気分になりました! (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:福原 | 作成日時:2021年9月17日 0時

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