第17話 ページ17
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化粧をすることを好むAは久しぶりの化粧に心を躍らせていた。校則で原則禁止されているよるものだと否めない部分もあるが、濃いとは言えない自分の顔が化粧によって変わっていく過程がAは堪らなく好きだった。
海に行くのなら、と意気込んだAは白いワンピースに身を包み日傘を手に持った。
最近チャールズ＆ケースで買ったバケットバッグに荷物を入れて、7cmヒールの白いサンダルを履き玄関の鏡で自分の姿をチェックしていた。
だいぶ伸びた髪の毛を緩く巻いたポニーテールは少しだけ首元が寂しかった。
「うちの娘が1番可愛い」
「はいはい」
反抗期、思春期を過ぎたAは高校生になってからというもの、母親からの無償の愛を痛感していた。
あれだけの罵声を浴びせられ傷付いているはずの母親はAに呆れるでもなく叱るでもなく、ただ静かに受け止めていた。
いっその事、叱られてしまえば気が楽だったのに。
そしてAはいつからか母親の術中に引きずり込まれていた。
「行ってきます」
そう言って玄関を振り返ったAは母親に向日葵のような笑顔を送った。母親もそれに吊られるように口角を上げたのだった。
これが、午前中の話だ。
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無事に目当てのシラスを買い、一息ついた頃には腕時計の短い針は6時を指していた。
東京がら江ノ島へ行くのだ、妥当ではあった。
このまま帰るのも悔しい、と思ったAはワンピースを翻しながら海へと足を向けたわけだが。それがイージーミスとなった。
「何でここに？」
「私のセリフ、部活は？」
「練習試合の帰り、俺は寄る所があったから皆とは別行動ってわけ」
思ったよりも淡々と行われたキャッチボールにAは面食らった気がした。あぁ、ラリーか。
久しぶりの邂逅に一抹の不安を抱いていたのはAだけだと明確に暗示されている気がしていたからだ。
偶然、と1人で言葉を咀嚼した。
「海、」
Aは沈黙が苦手でもないが、得意でもない。
気まずさを紛らわすようにAが目の前に広がる海に視線を向けた。
「綺麗だね」
素直に従った越前が海から視線を逸らさずに零した。
ギリギリ聞こえるか聞こえないかの言葉を、Aは越前の独り言として処理することにした。
「うん綺麗」
ならば、とAも独り言を呟いた。西日な反射する海面が、Aを見つめていた。
ただ真っ直ぐAが揺れる様を見ていたのだった。
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福原(プロフ) - ぱーぷる姫さん» ありがとうございます❤︎ぱーぷる姫さんにそう言っていただけて光栄です( X_X ) (2月24日 1時) (
レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
ぱーぷる姫(プロフ) - 涙が溢れ出ました！あまりに綺麗で切ない表現に何度も読み返しました。ありがとうございました！ (2月18日 15時) (レス) id: 4d7ac923b9 (このIDを非表示/違反報告)
福原(プロフ) - 幸絵さん» ご感想ありがとうございます(;_;)またどこかで2人が会える日がくることを願っています、、リョーマ！失恋組！初遭遇です！やはり初恋は実らないものですね、、 (2021年11月10日 9時) (レス) id: cc2ff694b3 (このIDを非表示/違反報告)
幸絵(プロフ) - 完結おめでとうございます！ついついヒロインの先輩と結ばれて欲しい〜って思ってしまいました。話は変わりますが、『劇場版リョーマ！』私も失恋した気分になりました！ (2021年11月10日 6時) (レス) id: 4696a5fece (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：福原 | 作成日時：2021年9月17日 0時
