story 10 ページ10
.
「_____てことで、明日から夏休みだが___」
先生の話が、ろくに耳に入ってこない。
「以上！事故とか病気にはくれぐれも気をつけて、夏休み楽しめよ！！」
「きりーつ、れい」
『さようなら…』
私は自分の机から目を離すことなく、小さく呟いた。
私の机には、さっき先生から返却された前期末試験の総合成績のプリントが置いてある。
ほかの生徒たちは、次々と楽しそうに教室を飛び出して行く。
「いやぁ〜今回平均点低くてびびったね！」
そう言って私達の席の近くに来たのは小山くん。
「みんなどうだった？」
小山くんの質問に、真由と加藤くんが小山くんを振り向くのを感じた。
小山くんが何かを悟ったのか口を抑えて小声になった。
「ごめん、聞いちゃいけなかった…？」
「いけなくない訳じゃないと思うけど…」
その加藤くんの言葉に何となく顔を上げると、3人が私を見つめている。
『へ？』
「私達が気になってんのはAよ…(笑)」
「一応、手伝った身としては責任感じてるよ俺も」
「どうだった？Aちゃん…」
はい…、と私は3人に自分の成績表を渡す。
『3人のおかげで過去最高の順位なんだけど、実感が湧かなくて』
クラス順位は9位。
今まで平均しか取ってきてない私からすれば、相当な順位だった。
「なんだ、成績良くなかったのかと思って焦ったぁ〜！」
「試験も手応え感じたって言ってたしね、本当良かった！」
『でも、こんなに全部がうまくいってて夢みたい』
.
加藤くんも、私の成績表をまじまじと見たあと満足そうに笑った。
「夢じゃないよ、これは金子が頑張った証拠」
.
“頑張った証拠” が加藤くんから手渡された時には、ただの成績表が、賞状くらいの価値があるように感じた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 124人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
鈴木カルロス三郎太(プロフ) - ゆっちゃんさん» えええありがとうございます(;o;)更新遅くなりましたが地道に続けていくのでよろしくお願いします。 (2018年9月19日 15時) (
レス) id: 1320e2bf1a (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん - これ読んでるとなんか幸せな気持ちになりますww この作品好きです(о´∀`о)応援してます！ (2018年8月25日 1時) (レス) id: f0e7248429 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鈴木カルロス三郎太
| 作成日時：2018年8月20日 22時
