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突然の出火と、嬉しくはない来客。
扉の向こうではバタバタと誰かが走る音が聞こえ、城内には未だ混乱の様相が見られる。
口元に布を巻いているせいで目元しか見えないが、変わらず鋭い視線を注ぎ続ける男にAも警戒がとけない。
もちろんそれはグルッペンも同じのようだが、彼の方が幾分か経験値がある分相手に語りかける余裕を持っていた。
「貴様はどこの国の者だ。それなりに力はあると見受けられるが？」
「……」
「雇われ者か？今なら寝返りが可能だゾ。お前の雇われた金額の倍出してやる」
「……」
「…その気はないと。なら目的は何だ。私の暗殺か？」
揺さぶりにも動じず、目的にも口を噤む男。
これだけの騒ぎを起こして総統室へ現れたのだ、大きな意思と意味を持っていることは間違いないのだが。
しばしの沈黙の後、男が僅かに背中を丸めて姿勢を崩す。
と、次の瞬間、彼は目にも止まらぬ速さでグルッペンへとまっすぐ突っ込んできた。
獲物は何も持っていない、純粋な肉弾戦。
繰り出す拳と蹴りは速く、細かく、しかし正確な位置を狙ってくる。
咄嗟にガードをしたり身体を逸らすグルッペンへ、それ以上の反撃の余裕を与えない。
彼も手練れのはずではあったが、それ以上に男の動きの方が速く、押していた。
目の先で繰り広げられる格闘は、当然ながらAが手を出せるレベルではない。
ふと思い出したのは、一度だけ見たことのあるゾムの訓練の様子。
味方最大の脅威とまで揶揄される彼の動きより、明らかに目の前の男の方が速い、重い。
手が出せないならば。
そう考えて耳元のインカムへ指を伸ばす。
しかしすぐに足元に飛んできたナイフに思わず数歩下がって腕を下ろした。
グルッペンとの戦闘中にも関わらず未だこちらに投げてくるとは、何て余裕。
これではただ見守ることしかできない。
私は、未だお荷物でしかないのか。
不甲斐なさと悔しさで微かに唇を噛む。
それでも男の隙を伺おうとその動向を見守る。
すると、
目が、合った。
ドクンと鳴り出す心臓の音、グルッペンとの戦闘を放置して、立ちすくむ自分へと向かってくる男。
速い、動けない、
相手の手には、先ほどまで投げられていたナイフ。
自分の名前が叫ばれる。
この低音を知っている、しかしここまで荒げた声は初めて聞く。
何もかもがゆっくりと、スローモーションで流れていく。
私、ここで死ぬのか。
どこか客観的に感じた彼女の視界で、キラリと刃物が光を反射した。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
