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その日、Aは朝から少しだけ落ちつかない様子だった。
冷静沈着な彼女にしては珍しく、よく見ると微妙にそわそわしているのがわかる。
理由を知るオスマンが笑いながら肩に手を置くと、Aはハッとしたように彼を見上げて頭を下げた。
「次の外交決まったで」
『どちらとですか？』
「アステール」
数日前、総統室に報告に来たオスマンは簡潔にそう告げた。
微かに反応した彼女に今回は向こうがこちらへ訪問しに来ること、そしてわかる範囲での参加メンバーを話せば、Aはその目を丸くしてしばし呆けた。
「一緒に出ん？Aちゃん」
『…ですが…』
「会いづらい？」
『いえっ、そんなことは！ただ、元上司が同席すると彼らもやりにくいかと…。それに私が祖国の者と話すのを良く思わない方もいるでしょうし…』
俯いて言葉を濁すA。
やはり残してきた元部下のことは気になるのだろう。
しかし自分の存在が外交に影響を及ぼすのは良しとしないようだ。
そのまま黙ってしまった彼女にオスマンは優しく微笑みかける。
「じゃあ会談終わったら呼ぶから、そこでゆっくり話したらええよ。アレだったら俺は席外すし」
『…よろしいのですか？』
「もちろん。彼らもAちゃんのこと心配しとるやろ。久しぶりなんやし、お互い近況報告くらいしたってバチは当たらんって」
宥められてAはようやく頭を上げる。
そして先程から一言も発しなかったもう一人の方へ顔を向けた。
『…グルッペン様』
「何だ」
『アステールとの外交の日は、少々席を外してもよろしいですか…？』
「……」
「それくらい許可したってよ。いつも仕事頑張ってくれとるし、グルッペンもトントンもAちゃんのおかげでだいぶ楽になったやろ？」
味方であるオスマンの援護にグルッペンの言葉が詰まる。
図星のようだ。
そしてその隙を見逃すオスマンではなかった。
「しかもこの前脱走してAちゃんに迷惑かけたんやってな。普通はお詫びに快く許可するところなんちゃう？」
「む…」
『あの、無理ならいいんです。申し訳ございませんでした』
そういってまた頭を下げるA、しかし言葉とは裏腹に表情には未練が残る。
グルッペンは仕方なくため息を吐くと腕を組んだ。
「条件がある」
『はい』
「…そのままアステールに帰ったりするなよ。もうお前は我々の人間なんだからな」
驚いた様子の彼女だがすぐにそのまま礼を述べる。
その横でオスマンはやれやれと一人肩をすくめていた。
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ミリオ - 小説読ませていただいてます！いやもう読む手が止まらないくらい、面白いです。グル氏の少し子供っぽいところがツボで、来るたんびに部屋で一人で「キャー！！」って言ってますw私は読むことしかできませんが、これからも頑張ってください！ (2020年3月23日 2時) (
レス) id: 5e8093b1cc (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 豆粒さん» コメントありがとうございます。わかりやすいですか…！？嬉しいです！更新遅くて申し訳ないですが、またいらしていただけると嬉しいです。 (2017年11月27日 8時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
豆粒 - はじめまして!内容が濃くて続きが気になってしまいます(*´∀`*)あと その場の状況がわかりやすい詳しい文にとても惹き付けられちゃいます、更新お疲れさまですっ (2017年11月26日 20時) (レス) id: 6ecce97bae (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - RIARUさん» コメントありがとうございます。面白いと思っていただけて嬉しいです！いえいえ、私の話は参考にできるほどではないので…。ゼロからオリジナルで書かれた方がもっと面白いお話ができるかと思います。 (2017年11月21日 12時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
RIARU(プロフ) - 作品読ませていただいてます！とても面白いです。私も小説を書いてるんですが参考にしてもよろしいでしょうか？失礼だったらすみません。 (2017年11月19日 21時) (レス) id: 88c227d681 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：璃亜
| 作成日時：2017年7月7日 23時
