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そのまま少しだけバルコニーにお邪魔して兄さんと世間話をする。
どうやら彼は他の幹部よりも出張が多いらしい。
噂の物資確保のプロというのは恐らく兄さんのことなのだろう。
Aとしてはあちこちの国に出入りするという彼の話をもっと聞いてみたかった。

「ええけど、そんな大した話ないで?そっちの外交には役立たんと思うし」
『構いません。どんなお話でも他国のことを知れるのであれば伺いたいです。もちろん無理にとは言いませんが…』

そう告げると兄さんは少し考え込む。
恐らくどの程度の情報なら渡していいか考えているのだろう。
まだ会ったばかりなのに少し早まったかとAが思案し始めた頃、入ってきた大きなガラスの窓が開く音がした。


「兄さん、そろそろ飯…ってあれ、Aじゃん」

意外そうな声に振り向けばそこにはひとらんらんが立っていた。
いつの間に夕食の時間になったのかと考えたが、気づけば空は先程よりも暗くなってきている。

「一緒に居たんだ。挨拶かな?」
『はい、お邪魔しております』
「呼びに行く手間が省けたな。二人共そろそろ晩飯だよ」
「おん、わかった」

背を向けて去って行くひとらんらんに兄さんが続く。
話は聞けなかったか、仕方ない。
少し残念に思っていると途中で兄さんが足を止めて振り返る。

「続きは飯食いながら話そか」
『!はい、ありがとうございます』

笑顔を浮かべるAに兄さんも小さく微笑み返した。





食堂へついたがまだ人はあまり揃っていなかった。
どこへ座ったらいいのか思案していると、一緒に部屋に入った兄さんに隣の席を勧められる。
先程の会話もあるので迷わず座ると、横から騒がしい声が近づいてきた。

「あっ!A、兄さんの隣座っとるやん!」
「出張の話聞きたいって言うから」
「え、俺も聞きたい!A、こっち座ってええ?」

元気に問うコネシマに了承すると彼は嬉しそうに笑う。
その後続々と部屋に幹部達がやってきたが、一部の人間は三人の並びを見て目を丸くしていた。

「…どうやら紹介は不要そうだな」
「せやな。けどコネシマがそこおんの珍しいなぁ」
「兄さんの土産話を聞く会やからな!」
「なんなんそれ!ズルいわシッマだけ!」
「そこどけやシッマ。僕が座る」
「お前はAの隣座りたいだけやろ!」
「何があかんねん!」

わいわいと騒ぐコネシマ達を横目にため息を吐く兄さん。
どこでも変わらんやろ、と嗜める彼もやはり苦労人なのかもしれない。

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はろ - 初コメ失礼します。今日初めてこの小説を見つけ一気に読んでしまいました。素敵な作品をありがとうございます! (2019年5月10日 23時) (レス) id: 04eaede967 (このIDを非表示/違反報告)
すみれいん(プロフ) - あ、あの、エーデルが死ぬと思ってなくて思わず涙が……(T ^ T)作品好きです!ま、まさかのおおおおってなっておりますっっ! (2019年4月26日 17時) (レス) id: 0dc2b364d7 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - フーさんさん» コメントありがとうございます。ボキャブラリー広いですか…!?まだまだ勉強不足な面もありますが、そう言っていただけて嬉しいです!ありがとうございます。続編もあるのでよかったらご覧になってみてください。 (2018年3月14日 21時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)
フーさん - 主様のボキャブラリー広すぎるぅううう… (2018年3月14日 13時) (レス) id: c25a3a0724 (このIDを非表示/違反報告)
璃亜(プロフ) - 遊馬さん» コメントありがとうございます。まだまだ拙いですが、お褒めのお言葉とても嬉しいです…!お気遣いありがとうございます。次作もどうぞよろしくお願いします。 (2017年7月7日 14時) (レス) id: 97b5822f0b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:璃亜 | 作成日時:2017年5月24日 22時

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